冬物は売れても、ウォームビズは不透明
読売新聞が 「ウォームビズ、寒波で不発、ネクタイ業界がっかり」 と、ちょっとわかりにくいストーリーを記事にしてくれている。
要するに、消費者は寒さのために厚着はしているものの、環境省が推進する「暖房を抑えて省エネを」という運動には結びつかず、冬物商戦も不透明ということらしい。
だから言ったでしょ。私は 11月 1日付の記事で、ウォームビズについて、「こんなもん、成功するだろうか」と、疑問を呈し、今月 8日の記事でも、ちょっと皮肉を述べている。
環境省には「この寒さでは暖房を我慢するのは無理」との声が寄せられているというが、それもおかしな話である。ウォームビズの趣旨は、暖房の温度設定を上げすぎず、20度にしろということだ。それは、暖冬だろうが厳冬だろうが関わりないお話である。
本来関係ない外気温の低さを持ち出して、室内暖房の設定温度を金輪際下げたくないというのは、要するに、ウォームビズはやりたくないと言っているのと同じである。
クールビズは、ネクタイの束縛から解放されるという、とても明確な訴求ポイントがあった。いまさらネクタイに逆戻りするウォームビズなんて、あまりそそられない。つまり、そういうことだ。
百貨店などの冬物商戦も、昨年同期よりはずっといいが、ウォームビズのプロモーションによるというよりは、単に、寒さと景気回復のおかげである。三越本店の広報も、「売り場で『クールビズにしたい』と尋ねてきたお客様は多かったが、『ウォームビズにしたい』という相談はほとんどない」と言っているという。
つまり昨年夏のクールビズのヒットは、省エネの謳い文句を隠れ蓑とか免罪符のように利用した「ネクタイの呪縛からの逃亡」にすぎなかったと解釈すれば、概ね納得がいく。男たちの積年の怨念の賜物なのだ。
その証拠に、ウォームビズで起死回生を狙ったネクタイ業界は、「結局、ネクタイの売上高にはほとんど影響なかった」と明かしているというではないか。
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