これこそ「文明の衝突」 − 「雪だるま」と「スノーマン」
札幌市の雪まつりの一環で、雪だるまを大量に作ってギネスブック登録を目指したイベントが今年、中止に追い込まれた。(参照)
ギネス社から 「スノーマンしか認めない」と回答があったためだという。だから私は 3年前から言ってたでしょ。「雪だるま」と「スノーマン」は別物なんだって。(参照)
そもそも、雪だるまは二段重ねだが、スノーマンは三段重ねなのである。理想的なスノーマンというのは、直径の比率が 3:2:1 の雪玉を、下から三つ重ねるのだ。
それは、Google で Snowman のキーワードでイメージ検索してみればわかる(参照)。ご覧の通り、西洋のスノーマンは三段重ねで、その上、手もあれば、ニンジンの鼻まで付いている。
二段重ねの雪だるまで、三段重ねのスノーマンのカテゴリーに挑戦しては、ハナから楽なハンディキャップマッチで、ズルしてると思われ、まともに取り合ってもらえないのも仕方のないことだろう。
私は昨日のエントリーで、「ムハンマド風刺画問題」は「文明の衝突」というより「経済問題」だと書いたが、この「雪だるま問題」こそ、まさに「文明の衝突」というにふさわしい。
その後も、"SNOWDARUMA" の新分類まで提案して飽くなき挑戦を続けたが、まともな返事すらもらえなかったという。
これは、ギネスブック認定委員にイスラム教徒がいて、「禅仏教の聖者である達磨大師を、こともあろうに『解けて流れりゃみな同じ』の雪で偶像化するとは、許し難い冒涜」として即座に却下されたためだ (もちろん、ウソです)。
惜しむらくは、関係者には、"SNOWDARUMA" ではなく、"Snow Dharma" と表記してもらいたかった。そうすれば、ギネス側も出来の悪い冗談とは思わずに、少なくとも返事ぐらいはくれたかもしれない。
「ダルマ」は "Dharma" として国際語なのである。ジャック・ケルアックの小説に "The Dharma Bums" (邦題 『禅ヒッピー』)というのがある。
なお、リンク先のニュースは時が経つと消えてしまうので、さわりのみ、以下に引用しておく。
札幌市の観光団体が実行委をつくり、ギネス挑戦を始めたのは 02年。「新潟県十日町市が雪だるまを約 6000個つくって申請した」 との話を聞いたのがきっかけだった。1年目は 5487個で申請を見送ったが、2年目は 1万2379個をつくり申請した。
ギネス社からの回答は 「1時間に何個のスノーマンをつくるかという分類はあるが雪だるまではダメ」。スノーマンは高さが 1メートル以上、鼻がニンジンで手があるなどと定められている。ところが札幌の雪だるまは約 70センチ、スノーマンとは認められなかった。
十日町市の雪だるまも承認されないと知り、その後も 「SNOWDARUMA」 の新分類で申請するなど挑戦を続けたが、回答すら来なくなってしまったという。
「雪だるまでの登録は無理」との結論に達したのは昨年 5月。「文化の違いはいかんともしがたかった」(実行委)
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コメント
経験上、アラブのパレスチナ支援・イスラエル嫌いというのも、いわゆるひとつの建前です。
投稿: alex99 | 2006年2月12日 17:06
alex さん:
>経験上、アラブのパレスチナ支援・イスラエル嫌いというのも、いわゆるひとつの建前です。
へぇ! そうですか。
わからんもんですね。
まあ、韓国だって、日本のサブカルチャーが好きみたいだし。
ありかもしれませんね。
投稿: tak | 2006年2月12日 22:50