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2006年2月11日

地球は神の創造でも、「神の国」 は NG?

米国のキリスト教保守派が、地球温暖化ガス排出削減法の制定などを政権に求めるキャンペーンに乗り出したと伝えられる。(参照

彼らは、「神の創造物である地球を守り、温暖化による海面上昇で被害を受ける貧しい人々を救うため、早急に行動が必要」と、崇高な主張をしているという。

昨夜、ラジオを聞きながら仕事をしていたところ、TBS の「アクセス」という番組で、このニュースが取り上げられ、「トークパーソナリティ」をつとめる二木啓孝(ふたつぎひろたか)氏 =「日刊ゲンダイ」ニュース編集部部長が、この主張を「おぉ、正しいじゃないですか」と高く評価していた。

二木氏は、米国のブッシュ大統領の強力な支持基盤である宗教保守派の中から、京都議定書批准を渋る政権に異議を唱える主張が出てきたことを喜んでいるのだろう。私だって、それは喜ばしいと思う。だが、「ちょっと待てよ」と、へそ曲がりを言ってもいいだろうか。

氏は今回の「神の創造物である地球」を大前提とした主張を、手放しで「正しい」と認めながら、6年前の森喜朗発言「日本は天皇を中心とした神の国」には、ヒステリックなほどの批判をされている。

私なんぞは、森氏の「神の国発言 は、別段問題とも思わなかった。「天皇を中心とした」という部分は、憲法にも「象徴天皇」が規定されているのだから、それほどいきり立つほどのこともなかろうし、「神の国」にしても、彼の信心から出た言葉なら、それでいいじゃないかと。

そもそも、この「神の国」発言自体が、広範な大衆に向かって声高に主張されたわけでもなく、内輪の集まりの中の発言だったのだし、あんなにまで鬼の首でも取ったように、集中的な非難を浴びせる必要があったのだろうかと思うのだ。

それに、仮に「日本は天皇を中心とした神の国なんかじゃ、ぜーんぜんないのよ」という結論にもっていったところで、それによって、どんな具体的な利益がもたらされるというのだ。そんなことに、あんなにまでヒステリックになる必要があったのだろうか。

まあ、このあたりは人それぞれの受け取り方があるから、私の考えが正しいと他人に押しつけるつもりもない。とくに、先の大戦と関連づけて問題視する考えも、ある程度は理解できる。ただ、言葉尻だけを捉えてヒステリックになるのは見苦しいということだけは、強調しておきたい。

そして、その言葉尻を捉えてヒステリックな批判論陣を張ったその人が、今回の「神の創造物である地球」発言に限っては、全然言葉尻にとらわれず、ころっと認めて「おぉ、正しいじゃないですか」とラジオで発言するというのは、節操的に如何なものかと思うのである。

「地球が神の創造物」であると認めるならば、その上に乗っかる日本だって「神の国」ということにしてもいいだろうよ。世界中の国が、それぞれ神に祝福された「神の国」でいいではないか。

まあ、私のこのエントリーも、かなり「言葉尻を捉えている」ことに変わりはないけれどね。「言葉尻捉え返し」ということで読み飛ばしていただければ幸いである。

あ、そういえば、今日は建国記念の日じゃないか。

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コメント

日刊ゲンダイの1・2面って、まるでイエローペーパーですね。
共産党よりすごい。

投稿: alex99 | 2006年2月11日 09:19

alex さん:

>日刊ゲンダイの1・2面って、まるでイエローペーパーですね。

趣味悪すぎですね。
とくに、あの 「饒舌ステロタイプ見出し」。

社会的不満を大げさに代弁してみせるポピュリズムに、
極右的手法と、「日刊ゲンダイ」 的手法があるとまで思わせます。

投稿: tak | 2006年2月11日 21:48

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