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2006年2月20日

メールの意図の伝わり方

獄中のホリエモン、喜べ! 米国の研究によると、「メールの意図が正しく伝わる確率は 5割」 しかないんだそうだ。

裁判では、証拠として挙げられる数々のメールについて、「そんなあやふやなものに証拠能力はない」と主張すればいい。「すべて検察によって意図が誤解されたもの」 だと。

しかし、実際には、この研究結果というのは、かなり眉に唾を付けて受け取る必要がある。実際に、メールの意図が正しく伝わるか伝わらないかの確率が半々だというなら、そんなアブないもの、世の中でこれほどまでに重宝して使われているわけがないではないか。

実は、この研究成果なるものは、かなり恣意的なもののようだ。報道された限りの情報では、研究は以下の手法で実施された。

この研究では、学部生のペアを 30組作り、大学構内の食べ物や天気などのテーマに関する 20の意見が書かれたリストを渡した。各ペアの一方が、これらの意見が本気か皮肉かを推測して、選んだ意見を相手にメールで送信した。受け取った方は、メッセージに込められた意味合いを推測し、同時にその判断にどのくら
い自信があるかを示した。

そもそもが、本気か皮肉か、どちらでも受け取れるビミョーな意見というのを、メールしたというのである。そして、送り手と受け手の判断が合致するかどうかというのを検証しただけと、要するにそういうことのようだ。

米国の IT 研究、とくにユーザビリティとかいった分野の論文には、こんな具合に、恣意的というか、枝葉末節的というか、極端なケースの論考というか、まあ、そうした類のものがとても多いように、私は感じている。彼らはその程度のことで、鬼の首でも取ったように、得意満面になっている。あまり上等な学問じゃない。

普通、こんな単純で子供だまし的な手法で行われた実験の結果を「メールの意図が正しく伝わるか」というテーマで発表するというのは、かなり無理があるような気がする。

本来ならば、実際に相対しての会話、固定電話での会話、携帯電話での会話、ビデオ、録音テープ、以上のケースを、淡々述べた場合と、芝居気たっぷりに述べた場合、さらに、FAX、手紙、各種印刷物などを、字体やフォントを変えて送った場合など、様々なメディアとスタイルを使って比較検証しなければならないだろう。

心配しなくてもいい。日常業務におけるとても事務的なメールのほとんどは、多分、きちんと伝わっている。送り手がある程度まともな文章を書いて、受け手がきちんと読んでいる限りは。

送り手の文章が 「ド下手」 で、受け手がきちんと読まなかった場合は、どんな場合でも、その意図はきちんと伝わらないが、それは、メールに限ったことではない。

ぬか喜びさせちゃってごめんね。ホリエモン。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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