「ボブ君」に助演男優賞
出張先から帰ってくる新幹線の電光掲示板ニュースで、WBC で日本が韓国に勝ったことを知り、思わず笑ってしまった。
この大会、既にほとんど終わっている。我々は「米国の米国による米国のための大会」で、米国が見事に消えるという、ナンセンス・コメディを見せてもらったのだ。
現在継続中なのは、日本とキューバのためのサブストーリーというか、ボーナストラックみたいなもので、メインストーリーからみたら、もうどうでもいいお話なのかもしれない。
この大会に最も熱狂的だった韓国は、唯一地区リーグからずっと無敗で突っ走ってきて、しかもあの米国に大勝したナショナルチームが、どうして、それまで 2度勝った相手にたった 1度負けただけで、消え去らなければならないのかと、憤慨しているだろう。
しかし、それこそが、この大会のとてもいびつなシステムの結果なのだから、仕方がない。
フツーの常識だったら、準決勝は、2つのリーグ戦の、異なった組の 1位と 2位同士が対戦することになるのだろうが、今大会ではそうした常識は無視され、同一組の上位 2チームの対戦となっている。これだったら、トーナメントの準決勝という意味がない。リーグ戦の 2つの組のプレーオフで、勝った方が最後の決勝進出という方がずっとわかりやすい。
この常識外れのシステムは、元々は、米国が強豪の中南米チームに当たらずに「準決勝」を突破し、確実に「決勝」に進出するために作られたシステムだと、考えざるを得ない。
その妙なシステムの結果、日本はフツーに闘いさえすれば勝てる相手に勝って、決勝進出を決めたというわけだ。元々の想定では、ここで米国が、日本か韓国に勝っているはずだったのだろうが。
その米国が、日本相手に「ボブ君」の奥の手を使って勝ち、そのためにどう気後れしたのか、同じアジアの韓国に大敗した。そして、フツーに戦えば負けるはずのないメキシコ戦でまで、「ボブ君」が変てこなことをしたために、すっかり諦めてディズニーランド見物なんてしていたチームを、必要以上に奮い立たせてしまった。
「ボブ君」、彼なりによかれと思ってしたことが、すべて反対の効果をもたらしている。最高のボケ役だ。今回の大会のナンセンスさの元凶は、システムをきちんと整備することなく、拙速に大会実現にこぎ着けてしまった主催者の甘い見通しだったが、それを見事に完成させたのは、「ボブ君」の大ボケだったと思う。
おかげで、この大会にはほとんど興味のなかった私までが、急に大喜びでウォッチするようになってしまった。「ボブ君」、助演男優賞確実だ。
ちなみに、米国という国は、昔から余計なお節介をしては、かえって失敗するという伝統があるようだ。
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コメント
韓国の対日本二連勝も、結果的に勝利の美酒を二倍にしてくれました。
多謝。
(勝ったからいいけれど)
思えば、いろいろのハプニングが、中身の無いWBCを面白くしてくれました。
投稿: alex99 | 2006年3月21日 03:08
本当に、こんなにもツッコミどころ満載 (マジにもおふざけにも) の大会になるとは、始まってしばらく経つまで気付きませんでした。
ある意味、ボブ君の振る舞いは米国の今日を象徴しているような・・・。
ところで、第 2回 WBC はあるのかなあ。
投稿: tak | 2006年3月21日 11:15