K-1 の「つかみ」規制強化
K-1 NZ 大会で、ピーター・アーツがセーム・シュルトに勝ってしまった。じゃあ、去年のボンヤスキー、ホーストは、何だったのだ?
これは、どうみても今年の K-1 が「つかみ」を排除する方向に出たことが大きい。上から押さえつけての膝蹴りを得意とするシュルトは、明らかにやりにくそうだった。
私には、K-1 が、F-1 やスキー・ジャンプ競技におけるヨーロッパのエスタブリッシュメントと同じような手に出たように思えた。
ホンダのターボ・エンジンが F-1 を席巻すると、ヨーロッパ勢はターボ廃止の手に出た。日本のジャンプ選手が飛びすぎると、同様にスキーの長さの規制を打ち出した。
K-1 は、シュルトの膝蹴りが強すぎるので、押さえつけての膝を出しにくくするために、「純粋に打撃の勝負を推進する」 との名目を掲げ、「つかみ」の規制を強く打ち出し始めた。
シュルトの膝蹴り対策を、個々の選手の技術の向上に任せるよりも、ルールとして、長身選手の膝蹴りを出しにくくするという手法に出た。これにより、実質的に体格の差のありすぎる場合のハンディキャップをつけたことになる。
体格に勝る選手に手枷足枷をはめるという K-1 の戦略は、敢えて無差別級選手権に打って出るPRIDE と、対照的な印象を与える。
「純粋な打撃」としてのスポーツライクな勝負を目指すという「名目」を強調するあまり、ムエタイなどでは十分に有効な「首相撲からの膝蹴り」という技術を無効化するというのは、私には、格闘技としての可能性に制限を設けただけのように思えてならない。
K-1 が、ますますつまらなくなってしまうではないか。
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