試験監督官の「いびき」
東北大学の入試で、試験監督官の助教授のいびきがうるさいと、つまみ出されたというニュース(参照)には、ちょっと笑った。
受験生が挙手して苦情を述べたため、起こしてつまみ出したというのだが、苦情が出るまで、残り 2人の監督官は、さぞかし居心地悪かっただろうなあと、同情する。
この入試には、1試験場に 3人の試験監督官が配置されていたということで、1人がいびきをかいて眠り始めたら、残りの 2人が、それに気付かないはずがない。しかし、受験生から苦情が出るまで、悲しいことに、何のアクションも取れなかったのである。
そうなのだよね。重要な場面で居眠りしちゃう人ってどこにでもいるのだけれど、眠っちゃった人を起こすのって、なぜかかなり「蛮勇」を奮わないとできないのだ。落語にしたって、眠っちゃった客を追い出すなんて芸当は、談志師匠ぐらいしかできることじゃない。
私なんかも、会議で眠くなってしまうことはしょっちゅうだが、目立たないように、ちょこちょこと「盗み眠り」するという特技があるので、周囲には(多分)寝ていると気付かれていない自信がある。これでも苦労しているのだ。
しかし堂々と眠っちゃう人もいるのだね、これが。静かに眠っていてくれるならまだいいのだが、中には熟睡していびきかいてしまう人もいる。堂々たるものである。
別に「よほど疲れている」というわけでもない。寝ちゃいけないところで、いびきかいて眠る人というのは、いつも決まり切っているのだから。つまり、そういう「キャラ」なのであって、病気でなければ要するに「無神経」 なのだ。
そして、ここが重要なポイントなのだが、無神経な人は、当人は無意識なのだが、周囲に「遠慮」を強制してしまうところがある。なぜか、神経の細やかな方が、無神経な方に気を遣ってしまうのだ。
いや、卵とニワトリみたいなもので、いつも気を遣う側に回るひとというのは、習い性として神経細やかにならざるを得ず、気を遣うことを知らないというひとは、結果的に無神経なのだということもできるけれど、まあ、要するにそういう関係性というのが生じやすいのだ。
何を言いたいのかというと、まあ、こっくりこっくり程度の眠りをしている人は、「エヘン」 という咳払い程度で起きてくれるから、世話はないけれど、いびきかいて熟睡しちゃった人というのは、相当に起こしづらいのだ。やっかいなのである。
無理に揺り動かすと、プライドを傷つけられたような気がするらしく、妙に不機嫌になってしまう人もいるし。
件の試験場でも、無神経な助教授が呑気にいびきかいている間、他の 2人は、本当に困ってしまっていただろうと思う。その非常に気まずい膠着状態を救ったのが、一人の受験生の 「勇気ある」 挙手だったというわけだ。
彼または彼女は、「王様は裸だ!」 と言った子どもと同じような存在であり、その行為は、拍手に値するものである。
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コメント
通りすがりですみません。この日記を見て自分の失敗を思い出しました。
高校時代にアメフトの公式試合の担架当番をやっており、不真面目から居眠りをしてしまったんですよね・・・・当然先生に見つかり後で酷く叱られましたが。
なんとなくこの監視員に親近感を覚えてしまいました(;´_`)
友人の日記に『的を得る』の表記を見つけて突っ込もうかと思ったんですが、前に見たここをもう一度見てやめとくことにしました。
投稿: ぶーちゃん | 2007年2月19日 21:40
ぶーちゃん:
>友人の日記に『的を得る』の表記を見つけて突っ込もうかと思ったんですが、前に見たここをもう一度見てやめとくことにしました。
やめておいてよかったですね。
投稿: tak | 2007年2月19日 22:26