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2006年5月 8日

「渋滞学」 ってのは、面白そうだ

今年は大型連休といわれただけに、高速道路の渋滞はかなりのものだったようだ。私もちょっと水戸方面の行き帰りだけで、常磐道でかなりの渋滞に巻きこまれた。

東京大大学院工学系研究科の西成活裕助教授は、「渋滞学」 という学問に取り組んでおられるそうだ。かなり面白そうである。

記者会見資料には、「渋滞学」 の内容が、以下のように述べられている。

車や人を粒子とみなすと、それらは自分自身で動くことのできる自己駆動型の粒子である。この粒子が集団になると渋滞が発生する。なぜ渋滞が起こるのかを新しい物理的アプローチで研究する渋滞学 を紹介する。

どうやら、物理学、数学のみならず、複雑系の理論まで応用されていて、なかなか興味深い分野のようだ。東京新聞などには、次のように紹介されている。(参照

車を自己駆動粒子として数学的、統計物理学的に解いたところ、最高速度が時速百キロの高速道路では、車間距離が四十メートル以下になると渋滞することが確認された。四十メートルなら十分以内で渋滞状態へと移行する。実測データとも一致した。

ただし、車間距離が四十メートル前後には、渋滞に至るかどうか「微妙な状態」が存在することも新たに分かってきた。「そのような状態では、車間は結構詰まっているが、時速七十キロや八十キロと、それなりの速度で走っている。しかし一台がちょっとブレーキを踏むだけで、たちまち渋滞になる」

なるほど、「微妙な状態」から「渋滞」に移行するには、それなりのクルーシャル・ポイント(決定的瞬間) があるのだな。

私の経験でも、すいすい動くでもなく、かといって渋滞というわけでもない「微妙な状態」に遭遇することは案外多い。こうした状態でも、上手なドライバー同士なら、渋滞に陥ることなく、微妙なままで、それなりにさくさく動くことになる。

しかし、連休などでは、普段運転しなれないドライバーが多く高速道に繰り出すから、変なところで余計なブレーキを踏みがちだ。こうして、渋滞に陥ってしまうクルーシャル・ポイントが、容易に作り出されてしまうのだろう。

確かに、渋滞の団子状態をやっとこさ抜け出してみると、その先は何のことなくスムーズに動いている場合も、かなり多い。

そんな時、「あの渋滞は何だったんだ?」と思うが、それは、あの団子状態の先頭にいた誰かが、期せずして「クルーシャル・ポイント」を創出してしまっていたのだね。

渋滞に限らず、悪気じゃなくてもみんなに大迷惑をかける人というのは、いくらでもいるのである。世の中は、そんな人の集まりなのだから、理屈通りに行かなくて当たり前なのである。やれやれだ。

そんなことでイライラする方は、私の本宅サイトの 「浮世で心地よく暮らすには」 というコラムでも読んで、鬱憤を晴らしていただきたい。

さらに、「このほかたとえば、緩やかな上り坂で速度が落ちると、車間距離が詰まり、後続車に連鎖的に伝わり、渋滞する。こうした自然渋滞が本質的で、全体の三割を占める」 と、西成助教授は述べておられる。

私は 「自然渋滞」という言葉が嫌いだった。「自然に渋滞するような道路なんか、作るんじゃない!」と思っていた。しかし、こうしてみるとある意味、「自然に起こる渋滞」というのも、確かにあるようなのである。考えを改めなければならないようだ。

ちなみに西成助教授は、渋滞の中では追い越し車線よりも走行車線を走る方が、比較的スムーズに走れるということを、実験データで証明されている。

しかし私の経験では、こんなのは、渋滞の中だけではない。いわゆる「微妙な状態」にある片道 3車線の高速道路では、一番左側の走行車線がもっともスムーズに走れる。詳しくは、本宅サイトの "高速道路と「キープレフト」" を参照されたし。証拠写真をたっぷり入れて説明してある。

ただ、この情報が行き渡ってしまうと、せっかくのノウハウが効かなくなってしまう虞れもあるのだが、まぁ、いいか。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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コメント

深夜、偶然教育テレビで東大の副教授さんの渋滞学のABCを拝見しました。これは結構、応用の広い科学になりそうですね。

興味深いと思いました。

投稿: シャルドネ | 2007年8月12日 19:19

シャルドネ さん:

なにしろ、複雑系の動きをある程度規則的にみることができるわけですからね。おもしろいです。

投稿: tak | 2007年8月12日 22:43

面白いと思って検索したら、いきなりこちらのブログに漂着して
またまた仰天です。(笑)

投稿: シャルドネ。 | 2007年8月15日 22:47

シャルドネ。さん

えぇと、うっかりしていて、今さらながら気付いたんですが、「シャルドネ。」さんだったんですね。
「モー娘。」 流だったとは、長らく気付いてませんでした。
失礼しました。

ちょっと前までは、「渋滞学」 でググると、なぜかウチのブログの記事が、トップだったんですが、さすがに、最近では本家の本の紹介がトップのようです。
しかるべし。

投稿: tak | 2007年8月16日 07:04

長い渋滞から開放されて,スムーズな走行に変わる瞬間・・・

それは「渋滞の先頭を走る自分」なのでしょうか。
ミラーを覗いて,少し後ろを確認すると渋滞のまま・・・

これも決定的瞬間????

投稿: かっこいいお兄さん | 2007年8月18日 15:48

かっこいいお兄さん:

>それは「渋滞の先頭を走る自分」なのでしょうか。

文脈からして、それはありえないでしょ。

渋滞から抜け出たスピードに、何台続いてきたとしても、それは 「渋滞」 とは言いません。

投稿: tak | 2007年8月18日 22:16

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» 渋滞学!? [快適な生活を目指し、成長し続ける男のBlog]
今日は、面白い記事を見つけました。 東大の助教授で「渋滞学」というのを研究して いる人がいるそうです。 確かに、渋滞というのはなぜ起こるのかよく 分からないことも多いです。 ずっと大渋滞していてほとんど動かなかったのに あるところから先へ行くといきなり....... [続きを読む]

受信: 2006年5月16日 23:19

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