「にじよじ」のまつや
最近、とんと酒が弱くなってしまった。どこに行くにも車を運転することが多いので、酒量が減っていた上に、サラリーマンを辞めて、付き合い酒まで減ったせいだと思う。
元々それほど酒に強い体質というわけでもなかったので、日常の「鍛え方」が鈍ると、自然に酔いの廻りが早くなる。
20代から 40代まで、私も結構酒を飲んでいた。案外行儀のいい酒飲みで、やたらと朗らかにはなるが、酔って他人に迷惑をかけたことは、ほとんどない。
一部記憶の飛んでいる部分もあるが、その間に無茶をやらかしたということもないはずだ。酔いつぶれた友人の世話をした覚えはいくらでもあるけれど。だから私の酒酔い勘定は、大幅黒字である。
私が一時酒を結構いけたのは、ひたすら鍛錬の成果である。何度も吐くほど飲んで鍛えたのだ。しかしその場合でも、トイレでこっそり吐いて、廻りには気付かれないようにしていた。
遺伝とか血統的なことを言えば、私の父方は完全な下戸で、母方は大酒飲みである。
父の家系は全員、本当に酒を飲めない。父は辛うじてお猪口 1杯なら美味いというが、2杯飲んだら、心臓バクバクで死にかねない。一転して、母方の親類はやたらと飲む。いくら飲んでも顔色が変わらないというほどの酒豪が多い。
私はその中間を取って「そこそこに飲む」程度である。いや、元々は父方 7分に、母方 3分程度のミックスで、どちらかといえば酒には弱い方だったと思う。せっかく鍛錬で補っていたのに、近頃、地金が出てきてしまっているのだ。
先日午後 4時前ごろに、神田のまつやに行った。老舗の蕎麦屋である。6時に仕事上で人に会う約束があり、その日はまともな昼飯にありつけなかったので、小腹ふさぎに、もり 1枚たぐっておこうと思ったのである。
近頃、「にじよじ」 という言葉がある。午後 2時から 4時の間に、ちょっと蕎麦屋酒を楽しもうかというような時に使われる。元々は、亡くなった杉浦日向子さんが言い始めた言葉だ。
間の悪いことに、 「にじよじ族」 のオアシスともいうべきまつやに入ったのは、その 「にじよじ」 の真っ最中だった。見回すと、もり蕎麦 1枚なんていう客は少数派で、皆いかにも美味そうに酒を飲んでいる。もう少しで誘惑に負けそうになった。
しかし、今回はぐっと堪えたのである。以前の私なら 2時間近くあれば十分に酔い覚ましができた。しかし今の私は、その自信がないのである。下手したら、仕事上のミーティングに赤い顔して行きかねない。
これからは仕事が一区切り付く前に「にじよじ」のまつやに行くのは、止めとこう。ちょっと誘惑が強すぎる。
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コメント
白磁の徳利と盃。
焼き海苔にわさび芋。
焼き鳥玉子焼き小田巻蒸し。
さぁ~~「にじよじ」の『まつや』が
呼んでますよぉ~♪(^-^)
投稿: 花まき | 2006年5月 6日 09:52
花まきさん:
うっ、う~~
な、なんて、そそる意地悪を・・・^^;)
投稿: tak | 2006年5月 6日 20:00