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2006年5月10日

「最も長い単語」を巡る冒険

"Which is the longest word in English?" (英語で一番長い単語はなぁに?)という有名ななぞなぞがあって、その答えは、"smiles" ということになっている。sとsの間が 1マイルあるからだという。

しかし、インテリの中には、その 3倍も長い単語があると主張するものがある。

それは "beleaguered"(「包囲する」 の過去分詞)である。単語の中に league という言葉が含まれているが、これは古い英語の距離の単位で、1リーグは、約 3マイルに相当するのだという。メジャーリーグとかいう場合の意味とは別の話だ。

3マイルはメートル法では約 4.8キロメートルだから、1リーグは、日本の 1里(約 3.9キロメートル)よりちょっと長い。

1 マイルの mile という単位の語源は、milia passuum(千歩の長さ) というラテン語だそうで、だとすると、1マイルは約 1,600メートルだから、西洋人の歩幅は  1.6メートルもあるということになる。短足の私がそんな大股で千歩も歩いたら、股関節がどうかしてしまう。

1歩を左右の二跨ぎとすれば、ローマ・マイルの約 1,500m となるという説もあるので、これなら納得できる。へぇ、ローマの 1マイルは、ちょっと短かったのか。

ところで、距離の単位を調べてみると、由旬(ゆじゅん)というのが出てきた。古代インドの単位で、時代によってその長さはまちまちだというのが、さすがインドである。2002年現在では、1由旬=約 6.6キロメートルとされているらしい。

元々は、帝王の軍隊が 1日に進む行程だそうで、地獄の距離の単位などと称されているらしいが、1日でたったの 6.6キロメートル進むのが「地獄」というのは、あまりにも軟弱である。もしかしたら、「1日」はなく「1時間」の間違いかもしれないが、それにしても、ちょっとした早足程度だ。

ただ、1由旬が約 9マイルに相当するという時代もあったらく、それだと、約 15キロメートルになる。軍隊の装備を背負って、1時間で 15キロメートル行くのだとしたら、確かに地獄だ。

それから、「公式な最も長い英単語」は、"pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis" だそうだ。日本語訳は「珪性肺塵症」 という。こんなに短くて済むのは、漢字の威力というものだろう。

ちなみに、日本語には "beleaguered" なんてのよりも、ずっと長い単語がある。それは「伊万里焼」だ。伊 と 焼 の間が、1万里(39,000キロメートル)もある。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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