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2006年6月 2日

クールビズは、ネクタイから解放されるための錦の御旗

クールビズが 2年目に突入した。今年の市場規模は約 1500億円(昨年比 6割増)という予測もあるが、本当の目的である省エネや CO2 削減は、あまり進んでいないようなのだ。

昨年も指摘した(参照)のだが、クールビズは、「ネクタイから解放されるための錦の御旗」としてしか機能していないのだと思う。

百貨店などでは昨年、クールビズは商売になっても、ウォームビズは、鳴かず飛ばずだった。当たり前である。またしてもうっとうしいネクタイに逆戻りするウォームビズなんて、何の魅力もないのである。

日本の男は、毎年夏になると、「女はいいなあ」と思ってきた。「半袖で会社に来ても怒られないんだから」と。オジサンたちは、背広にネクタイ姿で炎天下を歩かなければならない身の不運を嘆いてきたのだ。

ところが、昨年になって急に、夏になったらノーネクタイで会社に出ろと、お上が認めたのである。何と素晴らしい善政ではないか。やれうれしや、これで、暑苦しい姿から解放される。

というわけで、日本のオジサンたちの多くは、夏にはネクタイをしなくてもよくなって、あまり表には出さないが、内心では大喜びしたのである。

しかし、根が暑がりなのは相変わらずだから、会社の冷房の設定温度を上げることまでは、忘れたふりをした。その辺は、ちょっとズルイのである。

だから「クールビズが成功」というのは、ファッション業界だけの話で、省エネだのいう話とはまったく無縁のことなのだ。あまり誇れるようなことではないのである。

ちなみに、昨年は大打撃を蒙ったネクタイ業界だが、今年はメッシュなどの軽い素材、はたまた、シャツの第一ボタンにくっつけるだけの姑息なタイプなど、かなりいろいろな商品開発をしていて、少しは売れ行きが回復しているらしい。

まあ、いろいろな商品を売っちゃえばいいのである。ほとんどの人は試しに買ってはみても、実際には着用しないだろう。だって、ノータイの方がずっと快適なのは、身体にしみこんでしまったのだから。それでいいのである。

アイデア商品の「クールビズ・ネクタイ」は、ワンシーズンに、1度か 2度の着用のためだけに売れればいいのである。それでも、売上げは売上げだから、業界はハッピーになる。資源の無駄といえば、確かに無駄だが。

私個人でいえば、サラリーマン時代から 10年以上も、自主的にクールビズしていた。もちろん、冬になってもネクタイなんかしなかった。それでも、別になんの苦情も出なかったから、それでいいのである。

参考

 

クールビズの背景 : ネクタイ好きは出世好き、ネクタイ嫌いは現場好き

クールビズ その2 : 「相手がある」 ことを妙に気にする日本の営業マン

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」 へもどうぞ

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コメント

首回りは身体の保温の要所です。
クールビズでノー・ネクタイだと涼しい。
体温が首回りから逃げて行くから。

反対に、寒いときはマフラーひとつで非常に温かくなります。
冬の欧州にいた頃、セーターのかわりにマフラーをしていたことがありますが、セーター以上に暖かかったものです。

投稿: alex99 | 2006年6月 3日 06:12

alex さん:

首回りは確かに要所ですね。
「首筋がスースーする」ってのは、比喩以上の実感があります。

それから、頭も見逃せません。
昨日散髪したので、今日の寒さは、かなりこたえました。

投稿: tak | 2006年6月 3日 23:44

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