パレート法則と、ロングテール
従来のマーケティングの金科玉条は、「パレートの法則」 だった。例の 「上位 20%で、全体数量の 80%を占める」 というやつである。
これってサプライヤーには好都合でも、ちょっと変わった消費者には不都合な論理だった。そんな法則をありがたがりながら、「消費者志向」 だなんて、よく言うよってなもんだ。
試しに、その辺のステーションビルに入ってるレコード屋 (今は CD屋というのか) に行ってみるといい。あなたの欲しい CD は見つからないから。テレビやラジオをつければ必ず聞こえてくるようなベストセラーしか置いていない。
そこそこの規模の本屋でもそうだ。ベストセラーとコミックスと参考書しかないし、その上、超ベストセラーだと、品切れになっている。
ファッションでもそうだ。今どきの流行なんて興味がなくて、いつも定番の自分流のスタイルをしたい向きには、「トレンド商品」 ほど邪魔なものはない。店員に 「これ、今売れてますよぉ」 なんて言われたら、普通なら、買いたくなくなると思うんだがなあ。
というわけで、薄っぺらな 「売れ筋」 とやらには興味のない消費者にとっては、下手にマーケティング理論に沿った品揃えをした店なんて、なんの魅力もないのである。
マーケティングから外れた品揃えをしてくれる店が欲しいのだが、そんな店はよほどの市場規模の裏づけがないと、あっという間に潰れてしまう。だから、地方都市に行くほど消費が画一化されてしまうという現象が生じる。
しかし、最近になってようやく福音が与えられたように見える。「ロングテール現象」 というやつである。上位 20%が求める 80%の売れ筋から外れた商品でも、延々と長い尻尾のごとく続く小さな需要として、認知され始めた。
「ウェブ 2.0」 という、正直言ってわけのわからん風潮のおかげで、こうした商品を訴求しても潰れずに済むことになりつつあるようなのだ。
後は、システムの使いこなしである。とりあえず、そうした商品を探し当てるための検索システムの充実が求められるだろう。
そうなって、初めて、地方の文科系少年少女も、読みたい本が読め、聞きたい音楽が聞け、着たい服が着られるようになる。あぁ、私の高校時代にも、ウェブ 2.0 があればよかったのに。
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コメント
いや~とっても、勉強になります。
ちょうど子供の服を長崎屋で買ってきたところでした。
子どもに着せたい服が、店頭で見つけにくくなって、かれこれ、10年以上たちます。
小学校の低学年の娘に、モノトーンファッションなんて、ふつうは着せたいとは思わないと思うんだけど。でも、お手ごろ価格は、みんな白黒が基調で、「なんだこれ~。」って思った時期がありました。
その娘も、自分のバイト代で好きな服を買ってます。今流行のって感じのものが多いんですけれど。
親からみて、にあわない格好してることが、多いな。まあ、好きなようにさせてますが。
きっと、自分を、誰かが作った流行にあわせてるんでしょうね。
投稿: ねこ | 2006年7月27日 18:37
ねこさん:
子供のモノトーン・ファッションは、親とのペアルックみたいなものでしょうね。
親がそんな格好しないという家庭では、子供に着せるものがないかも。
ロングテールに期待しましょう。
投稿: tak | 2006年7月27日 22:03