「アジアンビューティ」という重箱読み
あまりにも些細な話なので、鬼の首でも取ったように騒ぎ立てる気は毛頭ないのだが、前々から密かに気になっていることがある。
花王の「アジエンス」という製品の CM で、Asian Beauty を「アジアンビューティ」と言っている(参照)が、それを言うなら、やっぱり「エイジャンビューティ」 だろうと思うのだ。
このエントリーを書き始めるに当たって、念のため、複数の英和辞書に当たってみたが、いずれも、冒頭の "A" の部分の発音は 【ei】 となっている。あえてカタカナで表記すれば、「エイジャン」か「エイシャン」で、「アジアン」と聞こえる読みは見あたらない(百読は一聴にしかず : スピーカーをオンにして聞かれたし)。
当然、元々の "Asia" も、英語の読みは 「エイジャ」または 「エイシャ」 で、「アジア」とはならない。
もしかしたら私が知らないだけで、"Asian" で 「アジアン」 と読む言語があっても全然おかしくないが、仮にそうだとしても、"Beauty" は、紛れもない英語だから、「アジアンビューティ」は、一種の重箱読みということになる。普通に考えれば、ジャングリッシュと英語の重箱読みなんだろうなあ。
"Asiance" という名の商品に関しては、つい「エイジャンス」と読みそうになるということは別として、日本の商品名であるからして、「アジエンス」 と読ませることに、全く異論はない。しかし「アジアンビューティ」は、やっぱり落ち着かない気がしてしまうのだ。
そこで、思い立って「アジアンビューティ」でググってみたら、なんとまあ 32,800件 (28日午前 12時頃の時点)もあって、花王さん以外にもずいぶんたくさんの「アジアンビューティ」が存在するとわかった。
これはもう日本語なのだな。「ナイター」とか「OL」とか「セレクトショップ」みたいなものだと思えばいいのかもしれない。おっと、前述の検索結果のトップは、「セレクトショップ アジアンビューティ」だった。
余談だが、英文表記 "select shop" でググると、見事に日本のサイトしか検索されない(参照)。「ショップのオーナーが自分のセンスで選んだ様々なブランドのアイテムを扱う」(前述のリンク先より引用)というごく当然のことがさも特殊扱いされるのは、日本ぐらいのものだからかもしれない。
それも含め、冒頭でも触れたとおり、だからといって、ことさらに無粋なことを言うつもりはない。ただ、たまたまネタに困って、ここしばらく感じていたちょっとした個人的モヤモヤを書いてみただけの話である。決して昨日ほど熱くなっているわけじゃない。
"Asian" という単語に関しては、日本人が外国人と英語で話す時、つい間違って「アジアン」と発音しても、なんとか通じてしまうことが多い。だから、あまり心配はいらない。
実際のところ、日本人の英語発音がカタカナ式であればあるほど、部分的な発音の間違いなんて、全体の中に埋没してしまって目立たない。
逆に、なまじ発音のいいやつが、つい「アジアン」なんて口走ると、向こうも安心して間違いを指摘してきたりしやがる。中途半端が一番いけないのだ。
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コメント
いつも読ませて貰ってます。イタリア語ではアジアです。但しアジア人とかになるとアジアティコ(asiatico)で、アジアンとはなりません。全く関係ないけど、ニッポニコ(nipponico、日本的とか)という言葉もあります。でも、その昔に学校で教えていたローマ字というのは今は存在するのですか?イタリア語はローマ字で習う発音と近似するモノですが、同じではないのが面白いですね。
投稿: jei | 2006年8月30日 19:08
jei さん:
コメントありがとうございます。
確かにラテン語系はローマ字読みに近いけれど、"Asian" とはならないですからね。
ドイツ語では、「アジア」という名詞が "Asien" のようで、「アジアの」 は "asiatisch" になるようです。
ローマ字教育は、今でもあるんじゃないかなあと思いますよ。
ただ、小学校で習う、いわゆる「訓令式」は、"si" と "shi" の違いに無感覚な日本人が育つという点で、私としては害毒だと思ってます。
(ヘボン式が英米発音偏重だとしても)
とはいえ、キーボードを打つときは面倒なので訓令式で打ってますが。
投稿: tak | 2006年8月31日 22:31