読書感想文の書き方(傾向と対策)
3日前のエントリー、「夏休みの宿題」不人気ランキングで、堂々 2位にあげられているのが「読書・読書感想文」である。
何しろ、この 「読書感想文」 というのは、捕らえどころがないのである。何をどう書けばいいのかなんてことは、宿題を出した当の先生だって、本当はよくわかっていないのだ。
課題をクリアするための「対策」 を立てるには、「何を求められているのか」という「傾向」を分析する必要がある。しかし「読書感想文」に関しては、この「傾向」というのがはなはだ曖昧なのである。
とりあえず、具体的に「何を求められているか」がわからない。それは当然である。前述の如く、先生の方でも「何を求めているか」がよくわかってないのだから。
なにしろ「感想」という日本語の中身が曖昧なのだ。こうした曖昧な日本語の中身を具体化するには、とりあえず英訳してみるといい場合が結構多い。曖昧だったものが具体化したり、あるいは「なんだ、結局曖昧なんじゃないか」ということが明確になったりする。
で、Goo の和英辞書で「感想」というのを引いてみると、"impressions; (one's) opinion." と出てくる。「印象」か「オピニオン」かというわけだ。なるほど。
「印象」ということにすれば、読んだ本のどのあたりが印象に残ったかを書いてしまえばいいことになる。とにかく、褒めてしまえばいいわけね。「主人公の、この行動に、感動しました」式の文書にしてしまえばいい。
ただ、このメソッドの欠点は、どうしてもありきたりになってしまいがちなことだ。感動ポイントなんて、大抵似通っているから。とはいえ、文句はつけにくいから、安全パイである。
一方、「オピニオン」重視にする場合は、ちょっと批判的に書けばいいわけだ。「主人公はこうしたけれど、私ならこうする」式に、ちょっと異論を唱えてしまえばいい。うまくツボにはまれば、この方がいい成績を取れるだろう。
とりあえず、「書いて提出してしまえばいい」ということなら、「印象重視」メソッドで、次の要領で書いてしまえばいい。
- その本を選んだ理由。「本屋でタイトルに惹かれた」 とか 「図書館で探していたら、表紙の絵が良かった」 とか、適当なことを書いておけばいい。要するに、行数かせぎである。
- 次に、ちょっとしたあらすじを書く。といっても、こんなことで苦労する必要はない。主人公が結局何をどうしたかを、ちょいちょいとかいつまんで触れさえすればいい。これも結局は行数かせぎと割り切る。ここまでで、原稿用紙 3枚弱ぐらいか。
- 原稿用紙 4枚目に入るあたりで、その本のハイライト部分を紹介する。「この部分に感動した」と、最後にとってつけたようなことを書くための導入部だから、わざとらしく力を入れるとよい。
- そして、最後に「感動した」「涙が出そうになった」「自分もこんなふうにできたらいいと思った」「見習って、努力したいと思った」「私ならこんなふうにできるだろうかと、反省した」などと、いい子ぶったことを書き添える。これで、大体原稿用紙 5枚になる。
と、こんなもんでいい。美しい 「起承転結」 である。100点満点で、70点の取れるメソッドだ。
70点で飽き足らないという場合は、最後の「4」の部分を「オピニオン重視」メソッドで、挑戦的に書き込んでしまえばいい。もしかしたら、80点以上取れる。
あるいは、「印象」でも「オピニオン」でもなく、「文芸批評」式に、先生が腰を抜かすようなことをびっしり書いて、煙に巻いてしまってもいい。
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コメント
読書感想文というと、課題図書を思い出します。
この課題図書の存在が、今風にいうと、「かなりうざい」。
それに、ある程度は売れるんだろうなと思うし、私のようなへそ曲がりは、あの金のシールが張ってあると、かえって読みたくなくなるような・・・。最近は、かなり、面白い本もあるようです。
(ここから、脱線お許しください。某TV局の****の泉の番組で、死期の近づいた猫の行動についてとりあげてました。takさんの二番煎じやってました。)
投稿: ねこ | 2006年8月11日 07:15
私の頃は、課題図書なんてなかったんじゃないかなあ。
何でも好きな本を読めってことだった気がします。
課題図書って、あれはあれで、一つの「利権」ですよね。
それから、死期の近づいた猫の行動って、大抵似通ってるんですよね。
投稿: tak | 2006年8月11日 22:52