レクサスは失敗したわけじゃない
ウチのブログ "Today's Crack" には、「レクサス/失敗」 というキーワードでのアクセスが、月に 20件ぐらいある。
私は、レクサスの戦略が失敗だったと決めつけた覚えはないのだが、そう決めつけたい人が少なくないらしく、安い小型車オーナーの私のブログにまで足を運んでくる。
「レクサス/失敗」という 2つのキーワードでググると、今朝の時点では、私のブログが上から 8番目にランクされている(参照)。車に関するエントリーなんて、年に数本しか書かないサイトなのに、恐縮なことである。
私はレクサスについて、"「レクサス」 戦略の成否を予言する" と、"急ぐな、レクサス!" という 2本のエントリーを書いている。
前者は、日本での展開スタート間もない昨年夏に、「成功するにしても、時間がかかる」と、半ば否定的な見方をし、後者は、その半年後の今年初めの動向をもとに、「ほぉら、やっぱりね」と、やや自慢しちゃったものだ。
ところで、レクサスのフラッグシップカー、「LS」 が、今月から国内展開開始なのだそうだ。ということは、私はカーマニアじゃないからよくわからないが、既に展開されているのかなあ。
いずれにしても、街をドライブしていてもメルセデスや BMW や ボルボは珍しくないが、レクサス・ブランドの車なんて滅多に見かけないし、ましてや LS は逆輸入の左ハンドルを別として、一度も見たことがない。やっぱり、まだまだだな。
普通に考えれば、レクサス車に乗るような日本のリッチ層(そのうちの何割かは 「成金層」?)は、LS の展開開始を待ちわびていたことだろうから、どっと注文が殺到したのは当然のことである。
彼らは「一番高いヤツ、持ってきて!」という人たちだから、まだ市場に 2番目に高い車しか展開されていない時点では、買い控えるしかなかったのだ。そして、彼らの大部分が、旧セルシオからの買い換え層でしかないのは、どう考えても明らかである。
LS 投入でレクサスの業績は多少持ち直したとしても、トヨタ全体としてはチャラである。いくら資金に余裕のある優良企業でも、大金をかけてマーケティングした結果が、トヨタ・ブランドの顧客の一部が、レクサス・ブランドに移動しただけというのは、ちょっと痛い。
レクサスが成功するためには、LS が旧セルシオ・オーナーだったおじさんたちのイメージで塗り込められるというプロセスを、きっちり遮断しなければならない。しかし、それをしてしまうと、今度は受注が伸びない。かなり深刻な二律背反である。
この矛盾を解決するためには、やっぱり「時間という魔法」を使うしかない。そして、この魔法の使い方を失敗すると、何年か後から遡って、このエントリーのタイトルを 「レクサスは、まだ失敗したわけじゃない」 と修正しなければならないことになる。
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