酒の鍛錬と、食道ガン・リスク
今年 5月 5日の "「にじよじ」 のまつや" というエントリーに、「最近、とんと酒が弱くなってしまった」と書いた。
若い頃から鍛えて、多少は「いける口」になっていたのに、サラリーマンを止めて付き合い酒が減ったせいで、日頃の鍛錬もしなくなり、元々の体質に戻ってしまったようなのだ。
以前にも書いたが、私の父の家系は完全な下戸で、お猪口 1杯の酒で顔が真っ赤になり、2杯飲んだら、心臓ばくばくで死にそうになる。私もその血を引いているので、体質的には酒はそれほど強くないのだが、大学に入る前からの鍛錬で、そこそこ飲めるようになっていた。
元々酒には弱いのだが、母方の血のせいで、好きなのである。好きなものを満足するほど飲みたいから、鍛えに鍛えたのである。しかし鍛え方が足りなくなるととたんに地金が出て、コップ 1杯のビール、お猪口 1杯の酒で、顔が赤くなる。
このように、飲酒時に顔が赤くなるのを「フラッシング反応」というのだそうだ。そして、コップ 1杯のビールでフラッシング反応の出るような体質の人というのは、普通に酒が飲める人と比べ、食道ガンになるリスクが 8倍以上にのぼるというのだ(参照)。
国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)の辻仲利政・外科科長らの研究グループの調査によると、私のような体質の人間は、正常型の人が少量飲酒した場合に比べ、8.84倍もの食道ガン発生リスクがあり、さらに 1日 3合以上飲むと、114倍のリスクになるとある。くわばらくわばら。
辻仲科長が経験から指摘する 「食道ガンにかかる典型的な例」 は、「営業職などに配属され、酒が弱いのに、接待など付き合いで無理に飲むようになり、次第に普通に飲めるようになるケース」なのだそうだ。
私は営業職はやったことがないが、まさに「酒が弱いのに、無理に飲むようになり、次第に普通に飲めるようになるケース」そのものだったのだ。知らぬこととはいえ、恐ろしい境地に足を踏み入れていたわけだ。
近頃、体質が元に戻って、味気ない思いをしていたのだが、どうやら知らず知らずのうちに食道ガンのリスクから遠ざかっていたという、「結果オーライ」の状況だったらしいのである。
でもまあ、ちょっとだけ飲む程度なら、大丈夫だろう。少しの酒でいい気分になれるのだから、コストパフォーマンスが向上したのだと思うことにしよう。
ちなみに、日本のおっさん世界では、酒の飲めない人にも無理矢理すすめて、酔っぱらいの土俵に引きずり込むのを良しとする傾向があるが、これは固く慎みたい。こうした精神風土が、飲酒運転をへとも思わない風潮につながるのである。
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