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2006年10月22日

数字の単位を巡る冒険

まこりんさんのブログに、中島梓が彼女自身のサイトで 「1兆ってどれくらい? 1兆は10億? それとも10000億?」(かなり意訳らしいが)と書いているのをみて、目眩を感じたと書かれている (参照)。

原文に当たろうと中島梓のサイトに行ってみたが、まずそのど素人っぽいセンスで目眩。

この「神楽坂倶楽部」なるサイトは、作りが稚拙というか、訪問者に不親切というか、とにかく探しにくいし、ググってもよくわからないし、結局原文には当たれなかった。

まあ、このサイトに行ってみて、中島梓という人が「本物の、素の、100%ピュアまじりっけなしのお馬鹿さんじゃんかよっっ」というまこりんさんの感慨に、かなり共感してしまいそうになった。巷の噂は本当だったのか。

これと比べたら、私の本宅サイトなんて、作りだけで言ったら、ソフィスティケーションの塊に見えちゃうじゃないか。やっぱりサイトというのは、見た目も大事よ。

まあ、中島梓のサイトについては、この際どうでもいいのだけれど、確かに、数の単位というのは、なかなかやっかいだ。とくに、西洋式に 3ケタごとにカンマを振られると、慣れてしまえば大丈夫だが、若い頃にはかなりまごついた。

あの、3ケタごとのカンマというのは、英語を初めとするヨーロッパの数の単位のコンセプトには便利でも、我々日本人には、やりにくくてしょうがないのである。

というのは、日本人にとっては、一、十、百、千、万、億、兆 …… と上がっていく数の単位において、「万」までは、10倍ごとに繰り上がっていくのである。ところが、ヨーロッパ人にとっては、「千」以上は 「とにかく、一杯」ということになってしまうようで、「万」に相当するコンセプトがない。

そのせいで、「万」を中抜きして、「千(thousand)」の千倍が「百万(million)」 、その千倍が「十億(billion)」ということになる。だから彼らにとっては、3ケタごとにカンマがついて、その度に単位が thousand, million, billion …… と繰り上がっていくのだから、とても読みやすいのだろうが、日本人には整合性が取れなくて読みづらい。

日本式には、最初のカンマは 4ケタめ(つまり「万」の位)で振って、それより上は 3ケタごとに振ってくれると、整合性がとれるのだが、それだと、見た目の美しさが損なわれてしまう。

私なんか数字に弱いから、カンマ付きで長々と続く数字を見ると、日本人のくせに、まず英語で「ああ、ここは billion だから、えぇと、10億だな」などと、翻訳して読む習慣になってしまっている。(こうすると、確かに間違いにくくて便利)

ところが、よくしたことに、1兆の位になると、日本の単位と西洋の単位の最小公倍数(と言っていいのか?)に追いついてくれて、カンマで区切られたところが、ちょうど 「1兆」 なのだ。

そこから先のカンマのところはまた、「千兆」 なんてことになってしまうが、英語ではどういうか知らないので、もうどうでもいい。

でも、ちょっと気になって調べたら、「兆」は trillion と言うのだそうだが、そういえば、見覚えがあるな。しかし、これも米語と英語で違っていて、英国式では thousand billion となるらしい。これ、ややこしすぎ。日本に生まれて本当によかった。

じゃあ、英国式で 「十兆」 は、なんというんだ? Ten thousand billion か? 「千兆」 は? ああ、どうせ縁のない数字だから、本当にどうでもいいや。

ちなみに、ちょっと調べてみると、東洋式の数の単位も、「下数」「万進」「万万進」 とか、いろいろが作法があって、一概に決めつけることができず、歴史的に採用されたり捨てられたりしているようなのだ (参照)。ああ、ますますどうでもよくなってきた。

どうせ、近頃ではある程度以上大きな数字になると、10の何乗とかいう表記の仕方をするようなので、あまり単位は気にしなくてすむのだが、10 の 12乗が 1兆 とか言われると、文化系の頭は、ますますこんぐらがってしまって、中島梓と変わらん状態になってしまうのが、少し哀しい。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

中島さんのサイト、見てきましたぁ~。
なんというか… アヤシゲな情報商材を売るページみたいですね。うーんと下の方にスクロールすると、「○○すると億万長者! 15,800円!!」みたいな。ちなみにわたくしイチマンゴセンハッピャク、英語ですぐに言えません…^^;

投稿: sato | 2006年10月22日 10:27

sato さん:

>「○○すると億万長者! 15,800円!!」

「億万」って、アラビア数字で表現できない素晴らしいコンセプトですね (^o^)

>ちなみにわたくしイチマンゴセンハッピャク、英語ですぐに言えません…^^;

私も急には言えないけど、フツーは、深く考えずに、見たままで "fifteen, eight hundreds" で通じます。

池袋~渋谷間の JR の切符の値段なんかでも、深く考えずに、"one, sixty" で OK です。学校で習ったとおりに言おうとすると、かんじゃうので注意。

投稿: tak | 2006年10月22日 12:25

 こんにちは。
 ネタ振りした人間の責務として、レスしますです。

> 結局原文には当たれなかった。

 えーと、ここです。

http://homepage2.nifty.com/kaguraclub/06-10-18ts.html

 ちなみに、中島さんの素敵過ぎるサイトデザイン。ソースを見ると、その素敵さがいっそうよくわかりますよ、とボソッといってみる。

 そういえば、takさん、ひそかに中島梓さんと早大文学部の同期ですよね? (――そうなんっすよ。中島さんもS46年度入学) もしかしたら、キャンパスですれ違ったかもしれないわけですよ? 同じ講義受けたかもしれないわけですよ?
 というわけで、色んな意味で桁外れで規格外な中島梓さんのことはそっとしてあげてください (泣)。わたし、昔、ファンだったんですよぉー―っ、おいおい (号泣)。

投稿: まこりん | 2006年10月22日 19:02

まこりんさん:

責務を果たしてくださって、感謝。

原文あたると、私が本文でちょっとだけ触れた 「下数」 「万進」 「万万進」 にひっかっかっちゃってるんだとわかりました。

(要するに、数に関しては、私と彼女は同レベルなのね。よよよ!)

>ちなみに、中島さんの素敵過ぎるサイトデザイン。ソースを見ると、その素敵さがいっそうよくわかりますよ、とボソッといってみる。

ぷぷぷ (以下略)

>そういえば、takさん、ひそかに中島梓さんと早大文学部の同期ですよね? (――そうなんっすよ。中島さんもS46年度入学) もしかしたら、キャンパスですれ違ったかもしれないわけですよ? 同じ講義受けたかもしれないわけですよ?

え? そうだったんだ。知らんかった。
学生証の学籍番号 371 で始まってたんだ。へぇ~~!

>というわけで、色んな意味で桁外れで規格外な中島梓さんのことはそっとしてあげてください (泣)。わたし、昔、ファンだったんですよぉー―っ、おいおい (号泣)。

はい。数に関して同レベルの同期生なので、そっとしとくことにしました。

投稿: tak | 2006年10月22日 19:52

単位を知らないだけで、文系理系は関係ないのでは?
まあ、兆を知らないのには驚いたけど、一万億であってるといえば
あってるし。古代中国とかの変な説明で混同してるだけで。
バカではなく、無知じゃないのかな。
九九も、足し算引き算も、算数の大半は暗記だし。
リンク先のコメントにあった分数の割り算ができないというのは、
割ると必ず小さくなるという思い込みが邪魔したりするのでは?

向田邦子のエッセイで雨に濡れない方法を考えたというのがあって、
ものすごく意味不明でした。黒柳徹子も、一度びっくりするようなことを言ってた。パーセンテージを理解できないとかなんとか。
あんなに頭のいい人たちが不思議ですよね。

もしかして、彼女達のような非常に卓越した言語感覚の持ち主は、夢見がちで、授業中、空想にふけったりするのかも。
私もわりと色々とオチこぼれなんで、笑えないですけどね(笑)

しかし、センスはどうにかならないのかというサイトですね。

投稿: kumi | 2006年10月23日 02:56

kumi, the Partygirl:

>向田邦子のエッセイで雨に濡れない方法を考えたというのがあって、
>ものすごく意味不明でした。

あはは (^o^)
私も幼い頃、雨が降っても、超スピードで移動すればあまり濡れないと主張して、周囲にあほ扱いされました。

でも、同じ距離を行くなら、超スピードで濡れる時間を短くすれば、それだけ濡れずに済むので、直感的正解です。

客観的には、同雨量の中に同時間いれば、移動していても静止していても、濡れ方は同じということなんだけど、現実には、「どっかに行く」 という目的で移動するので、客観的条件なんて、滅多に成立しない。

私が理数系苦手なのは、横書きの定理を縦書きテキストで考えるからかもしれないと、近頃思います。

>しかし、センスはどうにかならないのかというサイトですね。

下手ウマの領域にも達してないしね ^^;)

投稿: tak | 2006年10月23日 09:35

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