スピードの検討に 3年かけるんだって
一昨日のネットで、"「高速道は速度 100キロ上限」見直しへ 警察庁 3年かけ" という記事が目に止まっていた。
私は道路の制限速度の 「本音と建前」 は、明らかにギャップありすぎだろうと思っている。経験則に照らして言えば、こんなことに 3年もかけるのは、いくら何でも呑気すぎる。
オフィシャルな施設(警察や教習所など)を除けば、自動車運転の際のスピードに関しては、「道路の流れに乗ること」が重要だと教えられる。制限速度が 50km/h の道路でも、全体の流れが 60km/h ならば、その流れに乗らないと、リスクが増すのだ。
実際に、制限速度が 50km/h の道路を、きまじめに 50km/h で走行してみるがいい。道路の流れをせき止めることになり、その結果、後ろからどんどん煽られたり追い越しを掛けたりして、かえって危なくてしょうがない。
高速道路にしても、実際の流れの平均は 110km/h をやや上回る程度といったところだろう。これも経験則だが、120km/h で走っていても、スピード違反で取り締まられることはまずない。
実際に 120km/h ぐらいで走っている時に、後ろに覆面パトカーが来ても、徐々に減速して 110km/h 程度に落としてしまえば、何のおとがめもない。そんな時、素っ頓狂なやつが 140km/h ぐらいですっ飛ばしてくると、いきなり捕り物になってしまうのだが。
とにかく、パトカーだって制限速度の 10km/h オーバーで普通に走っていて、それと同じスピードで付いていっても、捕まるなんていうことは聞いたことがない。
件のニュースにも 「高速自動車国道の法定最高速度は時速 100キロ、国道、県道など一般道路は 60キロ。道路管理者が定めた設計速度などを基に決めたが昭和 38年以降、変更されていない」 とある。
昭和 38年といえば、東京オリンピックの前年である。トヨタのクラウンはようやく 2代目になっていたが、観音開きのクラシックな初代クラウンも、まだ盛んに走っていた頃である。なんと、43年もの間、なんの検討も加えられていなかったということの方が驚きだ。
43年前の小型車は、100km/h を無理なく維持できるというだけでも、ちょっとした性能だったと思う。だから、制限速度 100km/h というのは、諸外国との比較上、大盤振る舞いの数字だったのかもしれない。しかし、今の自動車は当時とは比較にならないほどの性能と安全性を持っている。
私が 20数年前に初めて自分で所有した車は、115km/h 以上を 10秒以上持続させると、何やらゴムの焼けるような臭いが車内に立ちこめた。だから、高速道路で 100km/h 以下で団子状態になった一団を追い越すにも、10秒以内で片を付けなければならず、ちょっとしたテクニックが必要だった。
ところが今の車は、軽自動車でも、のほほんとアクセルを踏みっぱなしにしていると、130km/h ぐらい、平気で出てしまうのである。高速性能だけではない、ブレーキ性能も格段に進歩した。
以前、「急ぎたい者には急がせてやる」というエントリーにも書いたことだが、日本の高速道路では、ちょっと激しい雨が降ると、速度制限 50km/h 以下なんていう、ファンタジックなまでに非現実的な措置が講じられることが多い。
私は以前、雨で 50km/h の速度制限が行われている最中に、試しに本当に 50km/h で走ってみようとしたことがある。しかし、後ろからバンバン煽られて、恐怖のあまり 60km/h 以下に落とすことができなかった。
速度制限を真に受けて、本当に 50km/h 以下で走行して追突されたら、誰が責任を取ってくれるというのだ。
これほどまでのファンタジックさではないにしろ、今の制限速度は通常でも実情との差がありすぎる。私は「本音と建て前」の使い分けには割と理解のある方だが、それでも、速度制限の取り締まりが恣意的運用によってどうにでもなるという現状は、考え物だと思う。
そして、こんなことの検討に 3年もかけるというのは、一体いつの時代の話なんだと言いたくなってしまう。
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