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2006年11月14日

1台の多機能機より、複数の専用機

調査会社 In-stat の調査によると、「携帯デバイスは多機能1台より複数を持ち歩く」 傾向があると、IT Media News が伝えている。

消費者の多くは、ケータイ、PDA、MP3 プレーヤーと、単機能機器を複数携帯しているそうだ。かくいう私も、ケータイ、モバイル PC、デジカメ、iPod Mini を持ち歩いている。

この調査は、スマートフォン(日本で言えば、ウィルコムの W-ZERO3 みたいのものと、言っていいのかなあ)タイプのデバイスを意識して行われたもののようで、「回答者の半数は、スマートフォンを購入すれば持ち歩く携帯機器の台数は減ると思っていた」が、実際はそうはならなかったと、以下のように報告している。

今回の調査対象となったユーザー(全員がビジネスユーザー)のうち、スマートフォンのおかげで生産性が向上していると回答したのは43%のみ。また、多くの携帯端末利用者は、現在使用している端末に新機能が追加されても、それは単なる「おまけ」のようなもので、ツールとしては役立たないと考えている。

また、15%以上の人がケータイを 2台携帯し、カメラ付きケータイ所有者の 80%が日常的にデジタルカメラを携帯、さらに、スマートフォン利用者の 75%はPDAを持ち歩き、マルチメディア携帯利用者の 50%が MP3プレーヤーを携帯しているというのである。

私は、SOHO スタイルで仕事をしているので、出歩くときはモバイル PC が絶対に必要である。パナソニックの Let's Note を使っており、これさえあれば、自宅オフィスのデスク 1台と書棚 1台を持ち歩いているようなもので、不便がない。

メールをするにも、ケータイではたった数行のメールを打つのに苦労するが、PC を広げればあっという間だ。それに、添付ファイルが送られてきても、その場で開いて見ることができる。私はモバイル PC を 「どこでもオフィス」 と呼んでいる。

また、もう一つのサイト「和歌ログ」で毎日和歌 1首を詠み、それに写真を 1枚添えているので、デジカメも必須グッズの一つである。今年の 5月に、200万ピクセルのカメラ付きケータイに買い換えたので、もうデジカメを持ち歩く必要はないと思っていたのだが、それは幻想だった。

ケータイとデジカメでは、やはりカメラとしての使いやすさは雲泥の差である。ちょいと取り出してシャッターチャンスを逃さず撮影するにも、画像データをパソコンに取り込むにも、やはり専用機としてのデジカメでないと、毎日のことなので、どえらいストレスになる。

それで半月も経たないうちに、再びデジカメを持ち歩くようになった。それぞれが小型軽量だから、2つ持っても、大した荷物じゃない。ケータイにカメラが付いていても、私の場合、デジカメを家に置き忘れた時の予備以上の役には立たないと言っていい。

なんでもかんでも多機能機 1台で済まそうとするのは、無理がある。ケータイというのは大体 3年ごとに買い換えるから、日常的に使うのは、できれば通話とちょっとしたメールぐらいに止めておきたい。機種交換の度に、カメラや MP3プレーヤーの操作まで一から覚えるのは大変だ。

それに、多機能機は 1つの機能が壊れただけでも、丸ごと修理か買い換えが必要になる。そんなのはゴメンである。さらにケータイでしょっちゅう音楽を聴いたり写真を写したりしていたら、バッテリーがもたない。ケータイの機種交換の最大の理由はバッテリーのもちが悪くなることだから、面倒くさい話である。

カメラ付きケータイは、今や最も当たり前のデバイスになり、スマートフォンも市場を拡大するだろうが、私はそれぞれの専用機の市場は、今後もなくならないと思っている。

それは、ウェブのブラウジング、通話、写真撮影、音楽を聴くことなどは、それぞれ独自の身体性に基づくので、1つのデバイスで兼用しようとすると、人間工学的に使いにくくてどうしようもないからである。

【2018年 7月 20日 追記】

この記事は、「見当外れ」として、2018年 7月 20日の 「iPhone 1台あれば、大抵のことは済んじゃう時代 」という記事で 「ごめんなさい」 しているので、ご容赦いただきたい。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

こんにちは。お邪魔します。

 ケータイであれこれする行動について、基本的には賛成です。しかしながら、専用の媒体を使わないと仕事のクオリティーに大きな差が出るということは、否めない事実です。
 実を申しますと、MP3も持ってない。デジカメも持ってない。ポータブルなパソコンも持ってない。そんな私ですので、生活の一部の様式において、
>1つのデバイスで兼用しようとすると、人間工学的に使いにくくてどうしようもない
というご意見に、人一倍頷いてしまいます。
 仕事で使う報告用の画像や、プライベートの音楽視聴に、ケータイに搭載される機能を使用しますが、200万画素を謳っているケータイの画像では、マイブログや社内のちょっとした報告文書なら事足りますが、プレゼンや年賀状など世間にさらす様な使い方では、どうしてもデジカメに頼らざるを得ません。
 音楽も然りです。ケータイ(SDカード)に覚えさせた音楽では、CDウォークマン(懐かしい…)の表現力にすら及びません。

 「あの小さなボディーにこれだけの機能を搭載!」という言葉の響きで消費者が動く時代は終わった…、というより、昔からクオリティーの高い専門的な商品こそ生き残っているという事実を(真似っこだけでは不易にならないことを)、tak様の記事を拝読して改めて認識したしだいです。
 物資が潤沢に供給される今の日本で、『とりあえず』搭載された機能は、一時の流行としては面白いけど、結局は分化して専門機に変化するか、淘汰されるかのどちらかだと思います。贅沢な国ですねぇ。テレビの場面を切り取って、画面下の口から「ヴー」と印刷してくれる機能、何年前でしたっけ?

投稿: がんなむぅ | 2006年11月14日 13:19

がんなむぅ さん:

>テレビの場面を切り取って、画面下の口から「ヴー」と印刷してくれる機能、何年前でしたっけ?

そんなのありましたっけ?
そういえば、あったような気も。
それにしても、あったとしても、あまり使い物にならないように思えますがね。

投稿: tak | 2006年11月16日 00:11

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