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2006年11月 4日

他人の 「お客様」 なんて、俺は知らん!

顧客に対して直接呼びかける時は「お客様」でいいが、そうでない時まで、単に「顧客」を「お客様」と言い換えて顧客重視した気になっている風潮に、私はかなり抵抗がある。

最近、小売業界のセミナーなどで、「お客様、お客様」と連発されるが、こうした場面では、「顧客」という言い方で充分じゃないか。

客観的なニュース報道で、「最近医師不足が深刻な問題に……」というところを、「最近、お医者様不足が……」なんて言ったら、おかしいだろうよ。

接客関係のセミナーなんかになると、変てこな講師がでてきて、「時々、困ったお客様というのもいらっしゃいますから ……」てなことを言ったりする。「時々、変な客も来るから」を接客用語でいうと、こうなるらしい。

いわゆる「接客」の必要な業界や、営業担当者同士(それと、顧客リストなどを扱う情報システム担当者に至るまで)の世界では、「顧客」を「お客様」と呼び習わすのが「ギョーカイ用語」になりつつあるようなので、あまりしつこく文句をいうつもりはないが、外部の世界にまでこの習慣を不用意に持ち出すのは考え物だ。

外部に向けたテキストで、「昨日、あるお客様との商談で……」なんて書き出す人がいる。これなんか、完全に「顧客との商談で……」でいいではないか。

そのテキストが一貫して客観的視点で書かれていればいるほど、その中に混じった「お客様」に違和感を覚えてしまう。そこだけ、身内の主観的価値観が無遠慮に出てしまっているのだ。

筆者にとっての「お客様」は、筆者(及び筆者の所属する組織)とその顧客との間だけで成立する関係であって、客観的には、知ったことじゃない。テキストを読む者にとっては、それは筆者の「顧客」でしかない。

電話応対で「○○課長は、本日、お休みされてます」なんて言われるのと、ある種共通した感覚である。

「あら、いいそこまちがいヨ」 というブログに、次のような話が紹介されている。(参照、以下引用)

べらんめえ口調でしゃべるロイ=ジェームスというトルコ人の司会者がテレビ等で活躍していた。このひとは素人のど自慢番組の司会をしていたのだが、ゲスト出演者であるプロ歌手の紹介をするときには〈三波春夫が歌います〉といった具合に呼び捨てであった。かれはある日の番組の終了まぎわに、このことについて視聴者から批判の投書があったことを紹介し、これに答えた。ゲスト歌手は視聴者に対してはわたしの身内だ。身内のものに敬称をつけることはできない、視聴者に対して失礼だ、と。以後もかれは呼び捨てをつづけた。

つまりロイ・ジェームスは、比喩的言い方だけど、ゲスト歌手を最後まで「お客様」と言わずに「顧客」と言ったというわけだ。視聴者こそが、司会者とゲスト歌手の両方にとっての「お客様」なんだからね。

まあ、芸能番組に関しては、もはやここまで潔く筋を通すのも考え物という時代になってきた。それは、芸能界という世界を「覗き見る」という趣向になりつつあるからだと思う。視聴者は覗き見に付き合ってるだけで、「お客様」 じゃなくなってしまった。

ただし、フツーのビジネス関連では、自社の顧客を、他の無関係な者に対してまで「お客様」なんて言ったら、本来は失礼なのである。

「お前の客は、俺から見れば、いわばお前の身内なんだから、外部に対してまで内輪の関係意識丸出しで語りかけるのは、気持ち悪いから止してよね」というわけだ。

ところで、とくに JAL のスチュ … あ、いや、何だっけ、あぁ、そうか「キャビン・アテンダント」だったかな、いや、JAL では、単に「アテンダント」というのか、そう、そのアテンダントが、ものすごい作り笑顔で「オキャクセメ」と発音するのは、何とかならないかなあ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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