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2006年11月18日

再び、「女王」の読み方

本宅サイトの BBS に、reccoa さんという方から「女王」の読み方(参照)について、貴重な反論が寄せられた。

私は「じょわう」-「じょをう」-「じょうおう」説を書いたのだが、reccoa さんは、「女房」「女御」のケースで「にょう」と読むようなものではないかと示唆しておられる。

「女房」「女御」の例を持ち出されると、ややたじろがざるを得ないということは、私も重々自覚してきた。

reccoa さんはさらに、「徐王」も「諸王」 も、それぞれ「じょおう」「しょおう」としか読めないとして、「王」が「うおう」になる必然性がないことを指摘しておられる。しかし、これは両刃の剣のようなもので、「女王」以外に「じょう」と発音する例が見当たらないということで、相殺されてしまう。

しかし、「女房」「女御」のケースが「にょう」 であることは、無視できない身体性である。そこで、ちらりとこう考えた。

「女王」の読み方は、古くは 「にょおう」 だったのである。これは苦し紛れではなく、本当である。今でも、皇族の場合の読みは、「じょおう」とも読むが、「にょおう」の読みも残しており、どっちかといえば、こちらの方が由緒正しい。

まあ、正しい歴史仮名遣いでは、「によわう」だったわけだが。そして、この「にょ」という発音は「女房」「女御」に見る如く、「にょう」 と伸ばされやすいかもしれない。

そこで、この 「にょう」 という身体性の記憶と、「わう」-「をう」-「うぉう」 という音便とが「合わせ技」として超強力に作用して、「女王」が「じょうおう」 と言い習わされるという、大変に根強い現在の身体性に落ち着いているのではあるまいか。

あるいは、発想をひっくり返して、「女王」の「にょわう」 から引きずられて、「女房」が「にょうぼう」、「女御」が「にょうご」になったという可能性もあながち否定できないような気もするし。

うん、かなり核心に近づいてきたような気がする。こりゃ、「知の関節技」 のエントリーの方も、少し加筆修正せざるを得なくなってきたかな。

とりあえず、昨日の約束通り、非常にコンパクトなテキストでカタが付いたことは、良しとしておこう。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

初めてご連絡します。
娘の学校の教師がアホで、「売店」と書かせる問題のふりがなに「うてん」となっているプリントを作る輩なのですが、「女王」と書かせるところに「じょうおう」と書かれたプリントを娘が持って帰ってきたので学校にクレームをつけようかと思っていたところでした。
でも、じょうおうでもよかったんですね。危なかった…

で、読ませていただいてもう一つ覚えたことがありました。
それは、「女郎」をじょうろと呼んでいるところです。
40年以上「じょろう」だと思っていました。


投稿: トシゾー | 2011年10月30日 08:01

トシゾー さん:

>それは、「女郎」をじょうろと呼んでいるところです。
>40年以上「じょろう」だと思っていました。

普通は 「じょろう」 で OK です。
落語では、「女郎買い」 という複合語において 「じょうろかい」 と発音されているようです。

投稿: tak | 2011年10月30日 17:07

詩歌:しいか
披露宴:ひろうえん
における、「い」とか「う」の仲間じゃないでしょうか。

投稿: はせりん | 2014年7月 6日 20:15

はせりん さん:

うぅむ、これは鋭いですね。

ただ、披露は、複合語にならなくても 「ひろう」ですね。

「詩歌」は、本来の読みは 「しか」ですが、慣用読みで 「しいか」になっています。これはかなり手強い。

「子曰く」 (しいわく) が論語だと 「しのたまわく」と読まれる慣わしで、それが 「しいのたまわく」 になりがちなように、「し」の次の語が子音で始まる場合は長音になりやすいのかなあ。

投稿: tak | 2014年7月 6日 22:31

上の方にもチラッと出ていますが、女郎を「じょうろ」と読む例がありますので、女を「じょう」と発音する例が女王「じょうおう」に限られると云うのは正確ではないと思います。

てっとり早くネット辞書で調べた限りでも女郎には「じょろう」「じょろ」「じょうろ」の3通りの読み方があるようです。

一つの辞書しか見ていないので大したことは言えませんがgoo辞書の使用例の語源・語誌では

「じょろう」〈浮・諸国ばなし 1685〉,〈浮・一代男〉(1682),〈浄・堀川波鼓〉(1707)

「じょろ」〈滑・膝栗毛〉(1802~),
「女郎衆じょろしゅう」〈滑・浮世風呂〉(1809~)

「じょうろ」〈滑・浮世風呂〉1809~),〈当世書生気質〉(1885~)

また、遊女を上臈「じょうろう」という例として〈謡・班女〉(1400頃?)も出ています。

例が少なすぎて仮説の域を出ませんが、下の様な発音の変化を辿ったようにも思えます。
「じょうろう」→「じょろう」→「じょろ」→「じょうろ」

また、蛇足ですが植木に水をやる道具はポルトガル語のjorroが語源で「じょろ」→「じょうろ」と音変化し、擬音のジョロジョロの元にもなっているとも。

投稿: アヌスとアナル | 2015年5月 6日 16:51

アヌスとアナル さん:

>上の方にもチラッと出ていますが、女郎を「じょうろ」と読む例がありますので、女を「じょう」と発音する例が女王「じょうおう」に限られると云うのは正確ではないと思います。

そ、それはそうなんですよね。(痛いところを…… ^^;)

ただ、女郎などは音便化で済まされるみたいなところもあるんですが、「女王」 の場合はひと味違うような気がしているわけです。

投稿: tak | 2015年5月 8日 06:49

じょうおう様とお呼び!

投稿: じょうおう | 2015年6月19日 19:49

じょうおう さん:

>じょうおう様とお呼び!

これはちょっと、間延びしすぎかも (^o^)
でも、座布団3枚。

投稿: tak | 2015年6月19日 22:42

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