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2006年12月 6日

「スルー力」 の頃合いは難しい

「するーか」って何のことかと思ったら、「するーりょく」と読むんだって。「スルー力」 - うむ、これはなかなかの新語だ。

ただし、ちょっと表記が今イチだ。「カヌー」という文字を見て、「ちからまたいち」 なんて読んじゃった、私の母のような人もいることだし、紛らわしさは避けられない。

「スルーする」という言い方を最近よく聞くけれど、これって、もちろん和製英語だ。英語の "through" は動詞じゃない。"go through" とか "drive through" とか、他の言葉と組み合わせられて、始めてまとまった意味をもつ。

本来の英語を使うとしたら、ignore とか disregard とかが、日本語化した「スルーする」に相当するんだろうなという気がする。Neglect というのは、意図的というより、うっかり見落としちゃったみたいなニュアンスもあるので、ちょっと違うと思う。

とすると、「スルー力」は、"ability to ignore" と言ったらいいのだろうか。「無視する能力」あるいは、「知らんぷりする能力」とでも直訳したらいいだろう。

英語に "Ignorance is bliss" という言い回しがあって、日本語の「知らぬが仏」に当たると言われているが、本当のところはどうなんだろう。

「知らぬが仏」 は、本当に全然気付かないので、天真爛漫にのほほんとしていられるのだが、英語の方は、余計な関わりを持たないでいるのがいいというニュアンスが感じられる。同様に、スルー力は十分に意図的なものである。

スルー力が強い人は、自分は傷つかないかもしれないが、相手に対しては冷たすぎるということになる。何しろ何を言っても反応してくれないのだから。しかし、スルー力が弱いと、誠実すぎて自分がダメージを負う。下手すると、いじめられっ子になりかねない。

一般的には、スルー力が強すぎると「傲慢」になり、弱すぎると「脆弱」になってしまうと言っていいだろう。

私は、自分のブログでは全てのコメントにレスを付けるように心がけているが、それでも、反応のしようのないコメントというのもある。あるいは、執拗なコメントにまめに反応しすぎてうっとうしくなり、最後には爆発してしまったことも過去に一度だけある。

「スルー力」 の頃合いは、かなり難しいもののようだ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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