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2006年12月27日

十二月の雨の日

昨日は、朝から降っていた雨が、昼過ぎには土砂降りに変わった。大雨強風注意報が出ていて、今日の夜明けまで続くらしい。

12月の雨というのは関東では珍しいので、つい、はっぴいえんどの 「十二月の雨の日」 を思い出してしまうが、あの歌に出てくる雨は、こんな大雨ではないと思い返す。

あの歌が世に出てから、なんと、30年以上も経ってしまっているのだなあ。あの頃は、まだ気候も今ほど極端から極端に振れるようなものではなくて、東京の師走の雨は、そっと降って、そっと上がり、そして「雨上がりの街に風がふいに立る」というような光景が見られたのだった。

昨日から今日の夜明けにかけての雨は、どちらかというと、「颱風」に歌われた光景に近い。「地面でぴしぴしとびはねる/雨は天の投げ飛礫」である。

なんだか、「日本の亜熱帯化」という言葉が思い起こされる。松本隆の、あのいかにも東京山の手生まれの、注意深く「過剰」を包み込むが故に、もう一つの慎ましい過剰が見え隠れしてしまうという風土性が、少しずつ失われてしまっているように思う。

あの頃、京都や大阪の風土から生まれた「フォークソング」が、ややどぎついメッセージを前面に出していた真っ最中に、松本隆の東京的叙情が現れた時には、とても新鮮な気がしたものだ。

ホワイトアウトの地吹雪の中を学校に行き、ガラス戸の隙間から容赦なく吹き込んで、机の上にうっすらと積もった雪を掻き落とすのが朝の日課だった、田舎者の少年には、手の届かない感性だと思った。

都会暮らしを続けるうちに、あの感性を身に付けてしまったわけじゃないけれど、違和感がないぐらいには馴染んでしまっている。だから、12月にこんな大雨が降ると、ちょっと驚いてしまう。

ああ、そういえば、「颱風」の作詞・作曲は大瀧詠一だった。東京山の手ネイティブの感性じゃない。彼は、やはり岩手県出身なんだなあ。

今、夜中の 12時 40分。雷まで鳴り出した。私の田舎では、冬の雷は 「雪下ろしの雷」 といって、決して珍しいものではないのだけれど。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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