正しい和食で、天下りか?
日本政府による「正しい和食」レストランの認証制度の話題が、まだ収まっていない。私の疑問は一貫して、「日本人が渡航先で安心してまともな日本食を食うため」の制度ごときに、税金を投入するのかなあというものだ。
日本の食文化の普及のためなら、それこそ「民間活力」に任せた方がいいだろうし。
そもそも日本人って、なんだか「食うこと」にこだわりすぎなんじゃないかとも思うのだよね。
英国人が味音痴というのは、定評のあるところで、日本人がいくら旨いメシを食わしてやっても、全然感動してくれない。それどころか、「日本人はなんで食い物ごときで、そんなに盛り上がれるんだろう」ぐらいに思っているようだ。
実は、私は英国人の気持ちが半分わかる。テレビで芸能人がいろんなメシを食って、旨いだの不味いだの、熱狂的に盛り上がっていると、「あいつら、普段まともなメシを食ってないんじゃないか」なんて、冷めた目で見てしまう。
それに私って、ずいぶん「変なメシ」を食っているという自覚がある。例えば、私はスパゲッティはごま油で和えて、納豆をかけて食べるのが好きだ。イタリア人がみたら何というだろうか。
それから、トーストに海苔の佃煮をつけるとか、イカの塩辛のサンドイッチなんてのも、ごくフツーに食べる。嫌ぁな顔をされるときもあるが、何のことはない。海苔の佃煮は、「海苔ジャム」に他ならないし、アンチョビーの塩っ辛いやつのサンドイッチがあるのだから、イカの塩辛サンドがあっても不思議はなかろうと思うのだ。
というわけで、私は自分がこんな食い方をしているので、滅茶苦茶独創的(?)な「日本食もどき」があったとしても、責められないような気がしているのである。そもそもそうした料理を供するレストランは、「正しい和食を食いたがる日本人」なんて、ターゲットとして想定していないだろうし。
「正しい和食を食いたがる日本人のための和食レストラン」 は、数が限られている。だったら、わざわざ政府が認証なんかしなくても、民間のガイドブックに任せておけばいい。あるいは、少々不正確な情報で地雷を踏むリスクを楽しむのも一興だ。
それに、わざわざ税金を投入して認証した「正しい和食」にしても、その認証システムを将来にわたって継続し、リストを「正しく」メンテし続けるには、かなりなコストがかかる。そのうち、外郭団体か何かに丸投げということになるに違いない。
ああ、わかった。これもきっと、農水省の役人の天下り先確保の一環なんだ!
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コメント
お邪魔します。がんなむぅです。
15年ぐらい前に台湾で立ち寄った、『日式』と呼ばれるラーメン屋さんのことを思い出しました。中華麺の逆輸入版です。アタクシが経験したものは日本の醤油ラーメンとはかけ離れた、まるでパイコー麺でした。(油コッテリ、お肉どっさり、香菜タップリ…ボクは好き)
でも、お店のカウンター、大なべで麺をゆでて、どんぶりにスープと麺と具材を投入、割り箸たてから箸とってと、システムは紛れもなく『日式』でした。
このちっちゃな『日式』のラーメン店を、探し出すことすら難儀なのに(翌年にはなくなってました)、『日式』を「和食レストラン」と認証する境界線が明確でないことや、世界各地の「和食レストラン」を渡り歩く(探し出す)経費のことを考えると、「真剣に認証する気あるの?」という疑問がわいてきます。
>ああ、わかった。これもきっと、農水省の役人の天下り先確保の一環なんだ!
「キミ、次の出張はどこにするかね。」
「はい課長。来月はベトナム辺りでどうでしょう?」
「よし。また出版社と(旅行)代理店に連絡して、プランを立てさせろ。」
天下り役人の海外グルメツアーを、タウンミーティング方式でプロデュース!
投稿: がんなむぅ | 2006年12月18日 11:47
がんなむぅ さん:
>天下り役人の海外グルメツアーを、タウンミーティング方式でプロデュース!
確かに、そんな構図が見えてきちゃいそうです。
実際には、認証の希望が寄せられた店のみを審査するんでしょうけど、それでも、かなりのコストがかかるでしょうね。
ちなみに、「日式」という言葉、かなりいろんなニュアンスを持っているようで、香港辺りでは、「日式按摩」というのは、かなり怪しいもののようであります。
そんなふうなイメージで見られてるのかなあ、日本。
投稿: tak | 2006年12月18日 14:20
私もこれを読んでから、公費を使ってやる気だったのか!と気づき今更ながら絶対ダメだと思いました!そして正当な和食の定義すら難しくなっているというのに、検証方法すら確立できないだろうし。お金を捨てるようなもの。アホらしくて絶対にいけないと思います。
takさんのおっしゃる通り民間のガイドに任せれば十分ですよね。
さらに、今日、このようなニュースが出たのをみて、ますます
こういうことを考え出す役人がいること自体恥ずかしくなりました。
『農水省 懲りずに復活2億円 和食「認証」改め「支援」』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061223-00000015-san-bus_all
投稿: banan | 2006年12月23日 16:12
banan さん:
2億円や 3億円など、お役人にしてみれば、はした金なんでしょうけどね。
それにしても、食い物の分野では攘夷派の多いのに驚いてます ^^;)
投稿: tak | 2006年12月24日 16:29
すみません、23日から出かけてたウィーンで日本食を楽しんできました。ブダペストでダメなら動けばいいんで(笑)
おっしゃる通りですね。日本の「洋食」は「西洋料理」とイコールでないように何処の国でも消化吸収されていく部分はやむをえないし、それより興味を持ってくれた時点で御の字、いつか日本へ来て本物の味を知ってくれたら尚ウレシーくらいにとどめておいたほうが大人ですよね。
スシポリス派遣か?!と他国のメディアに騒がれること自体、気持ち悪い。そういう感覚がまったくなくて税金がつかわれるなんて寂しいですよね。
投稿: budapestlife | 2006年12月27日 06:38
budapestlife さん:
いいなあ、ウィーン、私はまだ行ったことない。行きたいです。とにかく、東欧全体、行ってみたいです。
私なんか、せいぜい 2週間程度の滞在ですから、外国に行ってまで和食を食おうという発想がないですが、長く外国暮らししてると、そりゃあ、「まともな和食」を食べたくなるでしょうね。
いっそ、外国に長く滞在している人が、それぞれの地域でまともな和食の食べられるレストランの情報をブログにでも書いてくれたら、農水省のプロジェクトよりずっと手っ取り早くて役に立ちそうに思えます。
投稿: tak | 2006年12月27日 21:49
まさにクチコミですね。味というのは主観的なものでもあるので
私は二度と行くまいと思っていた店を「そんなに悪くない」という
方もいる。ブログのように大勢の人がそれぞれ意見を述べれば
自分と嗜好のあった人を信じて試したりができるし、ほんとうに
それで十分どころか全て果たせますね。
「海外にいる皆さん、積極的に日本食レストランについて
語って下さい」という声かけだけで税金使わないで済むならそうして欲しい・・・(真剣)
ウィーン、素晴らしいところです。土地柄、旧社会主義圏の
負の部分からくるストレスが無意識のあいだに澱のように
たまってくると自然と足が向かう西側の地。いつも癒されて
帰ってきます。人もやさしく、街は美しく、買い物も楽しい・・・
カフェ、音楽、クリムト、宮殿、刺繍、焼き物・・・シュニッツェル!
フランスやイギリスのような王道で他を圧倒するオーラというより
それぞれが好きに愛し眺めてよい国という親しみやすさがあります。
最近は、チェコ・ハンガリー・オーストリア3カ国の旅とか
いっぱいでてるようですが、詰め込みツアーではtakさんの
お気に召さないかなぁ・・・
投稿: budapestlife | 2006年12月28日 05:53
budapestlife さん:
>「海外にいる皆さん、積極的に日本食レストランについて
語って下さい」という声かけだけで税金使わないで済むならそうして欲しい・・・(真剣)
これ、いいですね。
どっか、国際的な 「食」 に強いブログが、トラックバック・センター的な役割を果たせば、かなりの情報にアクセスできそうですね。
それぞれが自分のブログで語るので、無責任なことは書かないだろうし。(書いたら、荒れるでしょうから)
私は米国、香港、ドイツ、フランスの 4カ国 (3カ国、1地域?)しか行ったことがないんですよ。フランスには 1度だけで、米国、香港、ドイツは何度も行ってるんですが、その他の国にも行ってみたいですね。
とくに、東欧、行きたいです。ウィーンは、その入り口という感じでしょうかね。
投稿: tak | 2006年12月29日 23:17