長嶋さんの平仮名署名
あの 「東スポ」 こと 「東京スポーツ」 (1月16日付) に、長嶋茂雄さんが立教大学時代に、初恋の人宛に書いたという恋文の署名が載っていた。熱狂的巨人ファンの山田勝三さんという方の「お宝」 なんだだそうだ。
この署名、平仮名の 「ながしましげを」、カタカナの 「シゲヲ」 と、二つある。
さすがに恋文の中身は公開されていないが、署名の方は二つとも写真になっていたので、平仮名の方だけだが、ここに紹介しちゃおう。
なんだかちょっと気取ってはいるが、ファンキーな字である。おもしろいのは、名前の方が「しげお」でなく「しげを」となっていることだ。このことについて、記事では、以下のように書かれている。
「普通なら男の人は 『オ』 を使うはずです。あえて『ヲ』を使ったのは、1つ上の先輩に対する敬意の表れ。この気配りこそ、ミスター流。やさしさがにじみ出ていると思います」 と山田氏は解説した。
「1つ上の先輩」 というのは、長嶋さんの初恋の人というのが、立教大学の一つ上の学年だったことを指すらしい。
しかし、山田さん、ちょっと待っていただきたい。なんで「を」にすると、「敬意の表れ」とか「気配り」になるんだ? はっきり言って、さっぱりわけがわからない。そのわけのわからなさは、長嶋さんの一連の名言に勝るとも劣らない。
普通に考えれば、「茂雄」の「雄」の字は、旧仮名では「を」だからというほかない。「男」の旧仮名は「をとこ」であり、「雄」は「をす」である。だから「茂雄」が 「しげを」になるのはごく当然で、別に「敬意の表れ」とか「気配り」とかとは無関係なんじゃなかろうか。
しかし、これを書いたのは、あの長嶋さんである。長嶋さん、自分の名前の旧仮名表記なんて、ご存じだったのだろうか? いやいや、一応戦前のお生まれだもの。知っておられたとしても、全然不思議じゃない。
ご存じだったとしても、はたまた、ご存じなかったとしても、両方とも「さすが長嶋さん!」で済んでしまいそうなところが、「さすが長嶋さん」である。
果たして、立教大学時代の長嶋さんは、意識的に旧仮名で署名したのだろうか? それとも、単なる気紛れだったのだろうか? 本当にどちらで解釈しても、とても長嶋さんらしい。このあたりが、長嶋さんの奥の深さである。
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