女性蔑視というより、「人間蔑視」 じゃん
柳沢厚労相の発言(参照)だが、ストレートに「女性は産む機械」と発言したわけでは決してなく、文脈としてはあくまでもたとえ話のようなので、あまり感情的に「女性蔑視」と騒ぐのも、ステロタイプ過ぎて恥ずかしい気がする。
馬鹿馬鹿しいほど不用意なだけの発言を「真っ黒」とは、私としては言いたくない。
たとえ話であるという文脈を一応認めた上で、その上でなおかつ 「普段考えていることが、つい表に出てしまう」 なんていう批判の仕方をしている人もいて、あながち無理矢理な論理というわけでもないが、かといって、そう決めつけすぎるのも、ちょっと強引だ。
とはいえ、いくら私でもこの発言が 「問題なし」 だなんて言ってるわけじゃない。やっぱり、柳沢さんという人は、さっさと辞めてくれた方がいいと思う。こんな人が大臣の椅子に座っているのでは、国民としてはあまり気分がよろしくない。
じゃあ、何がいけないのかというと、「女性蔑視だから」というよりも、はっきり言って「頭が悪いから」である。東大法学部卒業だからといっても、頭が悪いものは悪いのだ。
この人が、やいのやいの言われているように、本当に「女性蔑視」の思想の持ち主であるのかどうか、私は知らない。「産む機能をもつ存在」(この言い方は、決して女性蔑視じゃないからね)を、浅はかにも「機械」なんていう言葉で譬えちゃったからといって、すぐさま「女性蔑視」と決めつけていいのかどうか、私は逡巡する。
こうしたケースでは、やっぱりちょっと「はにかんで行こう」と思ってしまう (参照)。私の頭はかなり単純だが、そんな感情的かつ政治的な決めつけをしたがるような種類の単純さは、あいにくだが、持ち合わせていないのだ。
ただ、世の中の雰囲気としては、政治家が女性を「産む機械」なんかに譬えてしまったら、こんな「おいしいツッコミどころ」は他にないというのは、何よりも確かなことである。
それを大して気にもせず、わざわざ選んでまで、そしてわざとらしくちょっとだけ謝るポーズをみせてまで、なおかつこのナンセンスな言い回しに固執したというところが、あまりにも空気読めなすぎである。
ただでさえ、ホワイトカラーエグゼンプションで反感買ってるんだから、脇を固めておくべきだったのに。
政治家として、いやそれ以前にいい大人として、決定的に馬鹿である。「謝ったからいいじゃないか」では済まない。謝ったからといって、馬鹿が治るわけじゃないのだ。(おっとあぶない。この切り口になってしまうと、私もつい「はにかみ」を忘れそうになる)
ただ、こんな配慮のない人と一緒にメシを食ったら、どんな高級料理でも不味いだろうと思う。女性蔑視かどうかはしらないが、「人間蔑視」 的な感じは、かなり強い。
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コメント
>政治家として、いや、それ以前に、いい大人として、決定的に馬鹿である。「謝ったからいいじゃないか」 では済まない。謝ったからといって、馬鹿が治るわけじゃないのだ。
あ~残念…もうすこしアツく語ってもらいたかったのにw
冷めたフカヒレスープより
熱い味噌汁がいい!(イミフ
投稿: アンジェロ | 2007年1月31日 12:51
アンジェロ さん:
いやはや、これでもぬるかったですか。
あとは、圧力鍋でも使うしかなさそうです ^^;)
投稿: tak | 2007年1月31日 13:07
厚生労働大臣という立場の人が例え話だとしても、サラッとこういう単語が出てしまった時点でおかしいと思えて第一報を目にしてからモヤモヤしていました。長いセリフの一部を抽出して作られたマスコミのあおりに乗っかるアホの手合い風な言われようまで出てくると「でも国民の健康と安心を預かる省の大臣では?」と更にモヤモヤ・・・。
ここでサクッと言ってもらってスッキリ。これが一番シンプルな不快感のわけだったと分かりました。いやー、takさん、最高!
投稿: banan | 2007年1月31日 16:33
banan さん:
「女性は産む機械だと言った」 という報道の仕方には、かなり疑問を感じます。そうは言ってないだろう、譬えただけだろうと。
しかし、そんな譬え方を、何の疑問もなくしてしまうことが、おかしいだろう、頭悪いだろうと思うわけです。
彼は 「わかりやすく説明した」 つもりらしいけれど、別に機械なんかに譬えなくても、わかりきったお話なのに。
機械に譬えなければ、一般の国民にはわかりにくいなんて思ってたということ自体、彼が相当にセンスの悪い証拠です。
投稿: tak | 2007年2月 1日 01:54
確か最初の頃の報道では「つい、得意分野の経済に関する言葉と結びつけて話したくなった」というようなことを伝えていた気が・・・検索すると大蔵省出身で、行財政・金融のエキスパートと紹介されるようなプロフィールの持ち主なので本人は、ほんとうに何の気なしに言ったのかも知れません。でも、通常の感覚では出てこない喩えで、おっしゃるように「分かりやすく説明してもらうまでも無い」ことですよね。
私は勇気がなくて、あたま○○○と活字で打ち込むことができませんが、すごいスッキリしました。
報道で「人間として許されない発言」と批判する方をみて、今度はそちらが気持ち悪く感じました。大臣の発言は、takさんのおっしゃる理由で当然マズイんだけれど、それを「おかしい」というのに「人間やめろ」と繰り返しているように聞こえる表現をするセンスも正直、モヤモヤした気分にさせられます。はやく収拾ついてほしいものです。
投稿: banan | 2007年2月 1日 06:31
banan さん:
確かに、柳沢さんの言い草同様に、マスコミなどのヒステリックな対応も気持ち悪いですね。
投稿: tak | 2007年2月 1日 10:31
念のため、まとめさせて頂きます。
1.ほとんどのマスコミの論調
「女性は産む機械」というのは、女性蔑視の暴言だ。
2.ちょっとだけ冷静な指摘
柳沢氏は 「女性は産む機械」 などとは言っていない。単にたとえ話で言っただけなので、マスコミの論調は揚げ足取りにすぎない。
3.私の考え
確かにマスコミの論調は揚げ足取りで、不愉快だ。
しかし、揚げ足取りされるに決まってる言い方を、必要もないのに、わざわざしてしまう大臣は、頭が悪い。
おかげで、国会が空転して時間と金の無駄遣いだ。
こんな大臣は、さっさと辞めろ。
ということです。
投稿: tak | 2007年2月 2日 00:05
こんにちは
これくらい冷静なスタンスは歓迎です。
マスコミを筆頭に、世間があまりにも騒ぎすぎると感じています。
わかりやすくたとえ話で「産む機械」を使ったようですが
頭の良い方なら、このご時世にそのような発言をしたら結果が予想できたはずですが、
事の重大さを失念しているようでは意外にオバカさんだったようですね。
そういう意味において、大切な職責は任せられないような気がしますが。
発言内容も問題ですが、それよりもっと大きな意味で国の重責は任せられないという意味ですが
国会議員の顔ぶれを見ると似たり寄ったりで、
他を批判できるような人格者や人物がいないという空虚感だけです。
投稿: ネット姫 | 2007年2月 2日 20:18
ネット姫 さん:
>マスコミを筆頭に、世間があまりにも騒ぎすぎると感じています。
柳沢さんが、「"女性は産む機械" だなんて、言ってねぇだろ!」 と逆ギレしたらおもしろいのにと、密かに思ってます ^^;)
投稿: tak | 2007年2月 2日 22:36
すみません横から。↑の逆切れなら私も見たいかも。超ウケました。
国会審議をボイコットする以外に抗議の方法をもたない日本の野党って
なんなんだろうといつも思います。それに、野党が居なくても与党議員だけで
どんどん審議も何もなくたって次々Yesにされていっちゃって。
以前、アメリカ在住の日本女性から「日本て一党独裁よね。」といわれたことがあります。
言葉の選び方が独特の彼女の表現に慣れていたとは言え、
最初は訳がわからず大いに驚いてしまいました。
そしたら彼女は、「だって、ずーーーーーーーーっと自民党じゃない。
前に例外はあったけど、すぐ戻っちゃうし。一党独裁じゃない。」といわれて
ぐうの音も出ませんでした。
最近、ほんとにそうだなぁって思いを新たにしています。
投稿: banan | 2007年2月 3日 07:04
banan さん:
まさに。(公明党がおいしすぎる位置につけたりしていますが)
自民党の中の派閥が、密かに怪しくプチ政権交代してきただけですね。
でも、それだけじゃあ、旧来のレジュームがガラガラポンされないんですよね。
投稿: tak | 2007年2月 3日 14:13
そのへんも、勇気がないので変換できませんが「セイキョウブンリ」と
社会の授業で習ったけどなんであれ?えっと(ブツブツ)・・・。
とにかく閉塞感がありますね。
今回も、いろんなモヤモヤがサッパリして楽しかったです。
お相手してくださり有難うございました。^-^
投稿: budapestlife | 2007年2月 4日 07:19
budapestlife さん:
政治と宗教は、厳密なことを言えば分離し尽くせるものでもないんでしょうが、特定の宗教セクトというのは、少なくとも私の趣味には合いませんです。
投稿: tak | 2007年2月 4日 15:27
文化に溶け込んだものまで分かてるわけはなく、おっしゃる通り、
「特定の」はええっとゴホッゴホッ・・・^-^;
最後まで耳を傾けていただけて恐縮です。
ところで、コメント欄でスペースを取ると恥ずかしいとの思いから
改行が少なかった私をお許しください。
ブログも段落が長くなりすぎないよう意識し始めました。そうすると、以前
ご指摘だった「ついつい説明したくなる欲求」に気づいてハッとします。
あとでジワジワと効いて来るtakさんの考察を毎日楽しみにしております。
それでは今回はこの辺で退散いたします。
投稿: banan=budapestlife | 2007年2月 5日 17:55