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2007年1月25日

安倍晋三 改造計画

安倍内閣の支持率が 39%になったと報じられたら、中曽根元首相が「私のときも 39%だった」と励ましたという。

中曽根さん、「政治が保守本流に戻った」と、安倍首相がお気に入りのようなのだ。ところが問題は、保守本流というのは昔から支持率が低いと相場が決まっていることである。

小泉さんは、確かに「保守本流」というポジショニングにはなかった。むしろそれを「抵抗勢力」と位置づけて、自らを与党内野党的なイメージに染め上げ、それによって、従来の野党支持者のかなりの部分までを支持者にすることに成功した。

今の世の中、昔と違ってある程度の支持率がないと、選挙に勝てない。だから支持率の低い内閣は、いくら保守本流でも、与党の中でも力を持てない。

で、支持率を上げようとすれば、ポピュリズムに立脚せざるを得なくなる。すると、与党内野党の方がいいということになり、保守本流から外れがちになるというジレンマが生じる。

安倍さんは先だっての道路特定財源の一般財源化で、保守本流のくせに抵抗勢力を作ろうなんてしたのかもしれないが、結局は妥協しちゃったので、イメージとしては保守本流というより、自分自身が抵抗勢力と同じ色になっちゃった。

そうなると、あのお坊っちゃま的風貌が災いしてしまって、えらく軽く見られてしまう。

学級崩壊というのは、そのクラスの教師が、ちょっと弱腰で生徒に軽く見られてしまったことがそもそもの発端になるというようなもので、内閣の支持・不支持の構図なんていうのは、馬鹿馬鹿しいほど子供じみたものだ。

昨日、安倍さんは国民が「小さな不満」を共有しやすいキャラというようなことを書いたが、そのあたりが、小泉さんとの大きな違いなのだね。「小さな不満」は、国民の多くに共有されてしまうと、「大きな不満」になってしまうのだ。中身はどんなに漠然としていても。

以前、私は「竹中平蔵改造計画」というコラムを書いた(参照)。その中で、竹中さんが叩かれる要因は次の 3点だと挙げている。

  • 茫洋としているので、安心していじめやすい。必要以上に落ち込むタイプだと、いじめる側もつい気がひける。
  • トッチャン坊や的風貌で、苦労が足りなそうに見える。つい、「それじゃあ、苦労させてやろうじゃないか」となる。
  • 学者っぽい。学者は象牙の塔におさまっているか、せいぜい評論家ぶっていればいいのに、政治屋の世界を荒らしに出てきたのが癪に障る。

安倍さんは、上記の 1 と 2 に当てはまる。これを解消するためにも、今のうちにせいぜい苦み走って、根に持ちそうな強面の風貌を身につけるといい (母方のお祖父ちゃんとか、大叔父さんみたいな)。

そうすれば、支持率は「保守本流」の常で、大して上がらないまでも、余計な叩かれ方まではしなくてすむだろう。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

お邪魔します。がんなむぅです。

 安倍さんの風貌…。以前どっかの週刊誌が、フィギュアスケートの浅田(妹)選手に似ているということを、報じていました。
 「彼女は観音様フェイスだ」と思う私は、安倍さんの路線を、柔和で崇高なという方向に切り替えたらどうかと思います。

 いろんなところから、いろんな意見が飛んできても、表情一つで乗り切って、時に発する一言で、国民のハートを鷲掴み!


 すみません。とっても冗談です。

投稿: がんなむぅ | 2007年1月25日 13:14

>いろんなところから、いろんな意見が飛んできても、表情一つで乗り切って、時に発する一言で、国民のハートを鷲掴み!

これには、相当の年期が必要ですね。

投稿: tak | 2007年1月25日 21:28

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