パソコン OS という特殊な市場
Impress Watch と goo リサーチが共同で実施した Windows Vista に関するアンケートは、 「さもありなん」
という結果になっている (参照)。私の 2月 21日のエントリーの内容が、はっきりと裏付けられたようなものだ。要するに、Vista の登場を歓迎しているのは、マニアックなユーザーだけなのだ。
今どき、大抵の商品は、消費者のニーズをきちんと把握して開発される。その常識の通用しない商品の代表格が、パソコンの OS だ。ほとんど Windows の独占状態にある市場だから、競争原理が働いていないのである。だから、ユーザー・ニーズはほとんど無視されて、ベンダーの都合だけで、要りもしない機能を押しつけられる。
件のアンケートによると、"既に Vista を導入しているユーザーは、Watch 読者で 11.7%、goo リサーチで 2.4%にとどまり、「特に導入を検討していない" とするユーザーは両者とも過半数を超えた」 と報告されている。
そして、まだ導入していない理由としては、「Windows Vista の特徴的な機能を不足なく動作させるためには、かなり高めのマシンスペックが要求される」 という回答が目立っているという。
つまり、Vista の導入は遅々とした歩みであり、過半数のユーザーは、とくに必要と思っていないということだ。そして、いずれ、否応なく導入せざるを得ないのはわかっているので、それは、マシンスペックが十分に向上するのを、ギリギリまでまってからにしようという、受動的な姿勢である。
しかし、これって、おかしいではないか。パソコンは、今やコンシューマー市場の商品である。コンシューマー市場で、コンシューマーに実質的選択権がなく、ほとんど「押しつけ販売」されているというのは、異常と言っていい。
今自分の使っているソフトウェアで、なくてはならぬものというのは、ワープロ、インターネット・ブラウザー、メーラー、エディター、表計算、プレゼン、ウェブ作成、画像処理のほか、季節商品としての宛名印刷ソフトぐらいのものである。後は、セキュリティ・ソフトか。
私個人としては、ワープロとウェブ作成、そして画像処理ソフトだけは、きちんとした専門のソフトが必要だと思っているが、その他のものは、ごくごく簡単なものがあればいい。今の MS Office セットは、トゥーマッチだと思っている。
見たところ、ほとんどの人はビジネス上のドキュメント作成には、Google Docs and Spreadsheet 程度以上の機能は使っていないから、ブラウザーとメーラーがあれば、オフィスワークのほとんどはこなせるに違いない。
あとは、宛名印刷ソフトとパワーポイントのビューアーがあれば、まさに十分だ。もしかしたら、宛名印刷ソフトなんていうのは、メーラーの機能に付属させられるかもしれないし。
そうなると、OS だって、ちっちゃいもので十分である。ライトユーザーとヘビーユーザーの使う OS は全然違っていてもいいじゃないか。本来は、作成したドキュメントの読み込みに互換性がありさえすれば十分なはずなのである。
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コメント
別にtakさんが買わされたわけではないのだから、押し売りではないんじゃないんですか。軽いOSならLinuxでも使っていればいいと思いますが・・・。僕はWindowsXPですけど。
投稿: sco | 2007年3月19日 11:42
sco さん:
>別にtakさんが買わされたわけではないのだから、押し売りではないんじゃないんですか。軽いOSならLinuxでも使っていればいいと思いますが・・・。僕はWindowsXPですけど。
そう思える人は、それでもいいでしょうね。
投稿: tak | 2007年3月19日 14:47
全くビル・ゲイツという男は強欲ですね。
みんなパッケージにして押し売りする。
office だって、古い version で充分なのに、PCに付随してくるから買わざるを得ない場合が多い。
MS-DOS の経緯からして好感が持てない人物です。
投稿: alex99 | 2007年3月19日 15:15
PC知識がある人なら、パッケージまるまる買うことは無いかも知れませんが、一般の人は「高いな~」「こんなの全部いらないよ」と思いながらも買っているのだと思います。
投稿: alex99 | 2007年3月19日 22:24
alex さん:
補足、ありがとうございます。
投稿: tak | 2007年3月19日 22:26
ここでのtakさんの意見表明にも賛成だな。OSは軽い方が良い。だって、使う機能は本当にごくわずかだもの。これは、いろいろなスペックのマシンを並行して使って、かついろいろなOSを試してみると分かる。家族にもいろいろ使わせる。そうすると、600MHz以上ぐらいのマシンでW2000を使うのが、コストなどの点からも最適という結果が出る。メールだけだったら400MHzノートにメモリを乗せてやると十分実用的になる。動画をやる人は別ですが、それでも600もあれば使えます。マイクロソフトは過去、セキュリティーのためにOSを最新のものに、と主張していたが、すでにその主張は崩れてしまっているので、現状不満がないのなら、OSは変えないほうが良い。一旦変え始めると、手持ちの複数のマシンのどれかが不調などの状況になり、支障がでる。
新聞や雑誌にvistaの宣伝めいた記事が多いが、手持ちのOSやマシンを快適につかおうという視点がない点で今回は異様だ。メディアのスタンスはどうなっているのか、という気すらする。
投稿: バードマン | 2007年3月25日 12:07
バードマン さん:
やっぱり、MS は大スポンサーなんでしょうね。MS と メディアは、一蓮托生みたいな関係ですね。
PC 雑誌で、Vista の特集をやってるのを見ると、「ああ、雑誌は読者ではなく、MS の味方なんだな」 と思います。
ただ、徐々にその関係にほころびが出るでしょうけど。
投稿: tak | 2007年3月25日 20:15
いつもこのホームページを拝見させてもらってるROMの人です。
初めて発言させていただきます。
XPのパソコンが壊れて、やむを得ず自作の道に、走りました。
ついでにVistaの最低の基準をクリアーしました。
このOSは、使ってみないと、本当の価値はわからないようです。
サクサクしてるとかの基準はパソコンの性能によります。
このOSの目指したのは、みんなの使いやすさ・・
ネットに対する安全性・・
見やすさとか、ウィンドウの切り替えの早さとか
言葉では表現できにくいところにあるかとおもいます。
すごい、柔らかいという感じのOSに思えるのですが
一概に否定するのはどうかとおもいます。
投稿: kurokuma | 2007年3月26日 22:29
kurokuma さん:
>一概に否定するのはどうかとおもいます。
う~ん、私も、否定しているというわけでもないんですよ。
確かに、Vista に慣れたら、XP には戻れないだろうと思います。
それでも、注文してもいないものを押しつけられ、それに伴う割り切れないコスト負担をさせられる不愉快さを感じちゃうんですよね。
投稿: tak | 2007年3月27日 00:31