確かにうっとうしい百貨店の店員
これも昨日の 「羊とプードル」 同様、当然にもネタかと思ったのだが、どうしてどうして、どうやらマジのニュースだったようだ。
「声かけないでね…カードを付けて静かに買い物」 というニュースである。高島屋で、店員に声をかけられたくない客が、首にかけるためのカードなんだそうだよ。
件のニュースには、"カードの名称は 「S.E,E(シー)カード」。英語の Silent(静かな)、Easy(ゆったりとした)、Each(それぞれ)の頭文字から取った。「シーッ」と、人差し指を口元にたてるしぐさの図柄が描かれている" と紹介されている。はぁ。
それを言うなら "S.H.H(静かに、放っといて、離れてて)カード" とかにしてもらいたかったなあ。(「シーッ」 は "see" じゃなくて "shh" でしょ)
で、これをレポートした「痛いニュース」では、「付けんの恥ずかしそう」「新手の羞恥プレイ?」「罰ゲームか」などの反応が紹介されていて、どうみてもこうした感覚の方がノーマルに思われる。なにしろ、今月 4日から 27日までの間に、これを利用した客はたったの 5人だそうだし。
ただ、百貨店で店員に声をかけられたくないという心理は、十分に理解できる。元々百貨店の洋服売り場の店員は、ほとんどがメーカーからの派遣店員で、あのおばさん達は自分のメーカーの服さえ売れればいいと思っているのだから、信用しすぎるのは考え物だ。
どうみても似合いそうにない洋服を、「こちらの方が "うつり" がよろしいかと……」なんていう意味不明の言葉で薦められた経験のある人は少なくないだろう(「うつり」って、一体何だ?)。あれは要するに、自分のメーカーの商品を無理矢理売りつけたいだけなのである。
実際、強引な売りつけ方による問題もないではない。ケアラベルにドライクリーニングするように表示してあるのに、「洗濯機でも、弱水流なら大丈夫ですよ」なんて言われて真に受けて、洋服の風合いが台無しになったなんて例もある。(まあ、家庭洗濯で大丈夫なケースも多いには多いのだが)
また、ちょっとサイズが小さすぎる洋服を、「今はタイトフィットがトレンドですから」なんて言われて買ったはいいが、大事なお呼ばれの席で、ちょっとしゃがんだ途端にお尻の縫い目がビリッと裂けてしまったなんていうクレームも、それほど珍しいことではない。
とんでもない勘違いの商品説明をする店員も少なくない。とくに繊維素材の知識なんて、まったくメチャクチャだったりする。私なんぞはアパレル業界でメシを食ってン十年というその道のプロだから、「はぁ!?」と言いたくなることがしょっちゅうである。
というわけで、確かに無闇な接客はうっとうしいのだが、それを避けるためには、さらし者みたいなカードを首にかけなければならず、それが恥ずかしいからと言って遠慮すると、声かけの集中攻撃にあうなんてことになったら、たまらないなあ。
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コメント
何となく読んでたら、いろいろ考えさせられました。
煙草を吸っていいか聞かれるのと一緒で、断る側の精神的ストレスを鑑みないコミュニケーションに問題があるように思います。
S.E.E.は見てるだけって意味なんでしょうか?
逆に普及しすぎて、札を付けてない客に販売員が集中する光景を想像したらゾッとしますね^^;
投稿: clark | 2007年4月30日 13:14
clark さん:
>断る側の精神的ストレスを鑑みないコミュニケーションに問題があるように思います。
なるほど。それはいえます。
百貨店の開店時の、ずらりと並んだ百貨店従業員の最敬礼も、こちらとしては 「頼むから、止めとくれよ!」 と言いたくなるのですが、向こうは真剣に、よかれと思ってやってるんでしょうね。
投稿: tak | 2007年5月 1日 00:21