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2007年5月16日

「虫の知らせ」って、どうやらあるみたいだ

母が 10日に亡くなり、12日に通夜、13日に葬儀を執り行ったので、14日に予定していた奈良への出張は急遽中止した。

当初の予定では、奈良で仕事をこなした翌日の 15日は、たまたま 1日だけぽっかりと空いていたので、室生寺辺りを見物して帰ろうと、かなり楽しみにしていたのである。

先月から土日祝日も仕事の予定が入って、休みが取れず、ゴールデンウィークもどこにも行けなかったため、14日に出張の予定が入り、翌日がエアポケットのように空いていることを発見した時は、「やった!」とほくそ笑んだのであった。「この空白の一日は、思いっきり仕事から逃亡しよう」と。

萌野の和歌日記」 の萌野さんから、今の季節は室生寺辺りがきれいと推薦してもらい、室生寺なら、ずっと前から行ってみたいと念願していた所なので、かなりルンルン気分だった。

ところが、日が経つにつれてそのルンルン気分が消えて行くのである。ホテルやレンタカーの手配も、何故かする気になれない。予定まで 1週間を切った先週の 8日に、ようやくインターネットで予約したのだが、何だか全然気分が乗らないのである。

せっかく推薦していただいた室生寺だが、「行くと言った手前、行かなきゃいかんだろうなあ」なんて、萌野さんには申し訳ないような気分にまでなってくる。旅好きの私としては、こんなことは今まで一度もなかったのに。

そうこうしているうちに、10日に母が急に亡くなったという知らせが入った。それで、あの妙な気分は母からの「虫の知らせ」と思い当たったのである。「お前には悪いけど、今度の旅は、行けないからね」というメッセージだったようだ。

実家に帰ったら、父も予科練の集まり (いわば戦友会みたいなもの) の知らせが入ったのに、なぜか行く気がせず、欠席の知らせを出していたそうだ。毎年、あれだけ楽しみにしていたのに。妙な気分になっていたのは私だけではなかったわけだ。

母の中の潜在意識は、既に自分の寿命を知って、身内にそれとなくテレパシーを送っていたのかもしれない。私は、こういうことは案外信じてしまう方なのである。

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