ガソリンの 2倍の価格の水を飲む我々
「日本人は水と安全は無料と思っている」などと言われてきたが、よく検証してみると、もうそんなこともなくなって久しい。ただ、あまり明確に意識されていないだけだ。
大は国際的脅威から小はコソ泥まで、セキュリティは大問題だし、飲み水にだって、ガソリンの 2倍のお金を、我々は払っている。
かくいう私も、自分の飲んでいる水にガソリンのほぼ 2倍ものコストを払っているとは、ほとんど意識していなかった。先日、ある人に言われて、「そういえばそうだ」 とようやく気付いたぐらいである。
近頃、ガソリンの値段はリッター当たり 130円以上になっている。ところが、私がいつも買って飲んでいるミネラルウォーターは、500cc で 110~130円だ。確かに、ほぼ 2倍である。
ガソリンが少しでも値上げされると、我々はかなり敏感になって、遠出をしたときなど、1円でも安いガソリンスタンドを探したりする。そのくせ、ミネラルウォーターなどは、その辺のコンビニで気軽に買い求める。ガソリンのほぼ 2倍の値段で。
そこに気付いても、「くそ、そんなことなら、いっそガソリンを飲んでやる」ということにならないのが残念なところで、せいぜいバイオエタノール(お酒)を飲むぐらいだ。因果なことである。
石油の確保は安全保障上の大問題と言われているが、実は水の方がすごい。石油がなくても命までは取られないが、水がなくなったら、生きられないのである。その水に関して、無料とまではさすがに思わなくなったが、ガソリンの 2倍と聞いて、改めて驚くほど、我々は無意識である。
米国の穀倉地帯で、そのうち地下水脈が枯渇して、スプリンクラーで散布する水を汲み上げることができなくなりそうだと、言われ始めて何年か経つが、石油ほど騒がれたという記憶がない。不思議なことである。
水はあまりにも身近なものであり続けたために、かくまでありがたさを忘れられている。ガソリンの 2倍もの金を平気で出せるのは、一度に出費する額が小さいこともあるが、この無意識の裏返しだろう。
そのあたり、もう少し意識してみたい。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- オリンピック開催を巡る二階幹事長の雰囲気発言(2021.04.15)
- テレワークが定着しない日本の「飲み会メンタリティ」(2021.04.07)
- ワープロソフトを統一しても、根本的問題は消えない(2021.03.30)
- コンテナの手配がつかず、コーヒー豆不足という悪夢(2021.03.27)
- 「小林秀雄/国民の智慧」と「麻生太郎/政治家の劣化」(2021.03.24)
コメント
どうもこんにちは、3ヶ月ほど前からtakさんの「今日の一撃」を拝見させてもらっている宗光といいます。takさんの毎日更新してる「一撃」はいつも面白く興味深いネタで楽しんでいます。
今回の、ガソリンを水の2倍の価格で飲む我々について、私の住んでいる新潟では、水道水でも飲めるレベルなので、ミネラルウォーターは全然買ったことがありません。上下水道の平均が30ℓで約5円くらい(地方差がようわかりませんが)だそうなので、私は全然水の値段について頓着なかったです。
関東圏などの方では水道の水なんてとてもまずくて飲めないそうですが、そこら辺は新潟にいてよかったなとおもいます。
長々失礼しました。
投稿: 宗光 | 2007年6月20日 11:53
宗光 さん:
私の田舎の庄内地方も、水は美味しいので、ミネラルウォーターを飲もうとは思いませんが、茨城南部の霞ヶ浦水系は、ちょっとひどいものです。
同じ関東でも、東京山の手の多摩水系はずっとましでした。
30リットル 5円は、いいですね!
投稿: tak | 2007年6月20日 14:43