エネルギーを浪費しない照明
私はとても物騒だった頃のニューヨークを知っている。なにしろ、ホテルのロビーで人が撃ち殺されたのを目撃しているし (参照)。
ところが、近頃のニューヨークはとても安全になった。結構のほほんと道を歩いていても、それほどの危険は感じない。ジュリアーノ元市長の浄化作戦が功を奏している。
3年前にニューヨークに行ったとき感じたのは、夜になっても裏通りがやたらと明るいことだ。大きな照明を使った宣伝パネルが、いたるところに設置されている。これで、街の隅々まで明るくなって、犯罪防止にとても役立っているのだそうだ。
確かに、夜間照明を充実させることで犯罪はかなり抑止されるらしい。しかし、問題はそれに使われるエネルギーだ。
ただでさえ地球温暖化防止で、電力消費を控えようと呼びかけられているのに、その一方で、ふんだんに夜間照明を使うのは考え物である。夜間電力とやらで、コストは抑えられているかもしれないが、CO2 発生まで抑えられているわけじゃない。
「あちらを立てればこちらが立たず」というのは世の習いだが、これはかなりしんどい二律背反である。人の命を守ろうとすると、地球の命が危なくなる。
この問題の有効な解決策になるかもしれない開発商品を、最近、ひょんなことから知ったので、紹介しておこう。レビアという会社の「ソーラー式ルナライト」である。太陽光充電で 14時間の点灯が可能な LED フラッシュライトで、600m 以上離れても見えるのだそうだ(参照)。
既に千葉県木更津市の「中の島大橋」のほか、いろいろな施設に採用されているらしい。昼間に 6時間太陽光に当たれば、夜になってから 14時間発光するというのだから、かなり使い物になるではないか。
このルナライトを庭に設置し、夜間、光で蚊や蛾などの害虫を集めて駆除するということも可能なようで、今、北海道大学で実験中だそうだ。消費する電力はすべて太陽光発電で、殺虫剤も用いないので、環境にやさしい。
今年のエイプリルフール・ネタのハエ取りリボン(参照)よりは、ずっと画期的である。(実は、このネタを間に受けてしまった人がずいぶん多くいて、その中の一人からこの情報をいただいたので、罪滅ぼしの意味もあって、紹介している)
こんなような技術開発なら、どんどん進めてもらいたいと期待する。
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コメント
橋梁・街路の照明はともかく、環境にやさしい害虫駆除ってのは、これはこれでなんか微妙にブラックユーモアであるような気がします(笑) アイガモ農法なんてのもありましたが、害虫にとっては、農薬で殺されるのもアイガモに食われるのも、火力発電で作った電気による光におびき寄せられるのも、太陽光発電で作った電気による光におびき寄せられるのも、たいして変わらないだろうなぁ。
原子力発電による電気椅子と、太陽光発電による電気椅子。あなたが死刑囚ならどっちを選ぶか。日本なら、絞首刑にされるときに、自然に還元される素材の縄と、ナイロン100%の縄とどちらを選ぶか……。
投稿: 山辺響 | 2007年6月18日 15:11
山辺響 さん:
>橋梁・街路の照明はともかく、環境にやさしい害虫駆除ってのは、これはこれでなんか微妙にブラックユーモアであるような気がします(笑)
確かに。
どちらかと言えば、「夜は暗い方がいい、星の見える夜空を返せ」 という反応があるかと思ってました。で、私としては、「でも、まあ、同じ夜空の星の見えなくなる環境なら、CO2 の出ないほうがまだましか」 という答えも用意してたんですがね。
殺される虫の側に立った論理というのは、予想外でした。
「う~む、なるほど」 という感じですね。
でも、まあ、上記と同じ論理で、「蚊に刺されて痒くて気が狂わんばかりにならないために CO2 を出すよりは、同じことなら、出さない方がいいかも」 という、まあ、ある意味、蚊には気の毒な、勝手な理屈ではありますね。
投稿: tak | 2007年6月18日 15:52
無粋で恐縮ですが。
昆虫の生態として、
いわゆる人間を刺す「蚊」は光に対してほとんど誘引されないというオチ?
光に寄ってくるのは蛾とかユスリカ(非吸血性の蚊)とか・・・
投稿: 匿名希望 | 2007年6月19日 02:16
匿名希望 さん:
>いわゆる人間を刺す「蚊」は光に対してほとんど誘引されないというオチ?
へへぇ! 恐れ入りました。
そうだったんですか。
そういえばそうですよね。
光に寄ってくるのは、蛾とか、緑っぽい小さな虫 (あれ、なんていうんだろう?)とか。
あとは、蚊に見えるのは、あれはユスリカってんですか。
血は吸わないんですね。知らなかった。
投稿: tak | 2007年6月19日 10:03