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2007年6月10日

「フェアトレード」 という行き方

古い友人、mikio さんのブログ 「飯豊の空の下から…」 の 今月 6日付 「コーヒーから見える世界」 というエントリーで、恥ずかしながら、初めて 「フェアトレード」 というものを知った。

Google で調べると、「ジャパンフェアトレードセンター」 なる団体があり、それがどんなものなのか、詳しく説明してある。

その説明は、気持ちのいいほど単純明快である。フェアトレードってなに? というページには、以下のように書いてある。

途上国の底辺で働く人達が貧困から抜け出せるように、彼等から直接、より高い値段で、継続的に商品を買うことです。

直接取引きすることで、中間マージンを排除し、その分生産者が多く受け取る仕組みを作り、取引を継続することでその仕組みをゆっくり大きく育てます。

これが、Wikipedia の 「公正取引」(公平取引 = fairtrade) の説明になると、以下のようにまわりくどい。

フェアトレード (公平貿易) は国際貿易における先進国と発展途上国の公平さを求める。発展途上国の立場の弱い生産者と労働者により良い取引状況を提供して、彼らの権利を強化することで、持続可能な開発が実現出来るように貢献する。フェアトレード (公平貿易) の機構は、従来の国際貿易の規則と実態を変化させるために働きかける。

要するに、世界の貧困な生産者の自立支援のために、輸入国側の、しかもより消費者に近い立場の人間が、彼らから直接買い付けることにより、より多くのプロフィットを彼らに保障するという考え方によるもののようなのだ。

それだけに、現地の仲買人や国際流通企業など、既存のセクターにとっては商売の邪魔ということにもなりかねず、「飯豊の空の下から…」に書かれているように、NPO フェアトレード活動者が、現地ブローカーの指金で命を狙われるという事態にもなるのだろう。

なかなか複雑怪奇な世界が垣間見える。

ただし、フェアトレードにも、問題点があるようなのだ。ジャパンフェアトレードセンターのサイトには、その多くの問題が包み隠さず紹介されている (参照)。

なるほど、通常の市場経済のルールからちょっと外れている分、値段、納期、品質などの面で、不合理が発生することがままあるようだ。市場経済のルールに従えば、あまり表面化しなくてもいい問題である。

こうした問題がありながらも、フェアトレードを推し進めようとするのは、とにもかくにも、世界の富の格差を何とかしようという人道的な発想からだろう。それに、市場経済のルールでは無視されがちなエコ的発想を、フェアトレードは取り入れやすい。

あるいは市場経済自体も、従来の単なる乱暴な競争原理だけでは自らの生存そのものが危うくなることに気付いて、エコの視点を導入せざるを得なくなりつつあるという状況があるため、それにつられて、フェアトレードの視点も徐々に取り入れられるということも考えられる。

フェアトレードは、多くの問題をはらみながらも、長期的に見れば、市場経済自体が辿るべき道筋を先取りしているとみることもできるだろう。市場経済のマジョリティが長い回り道を経て追いついてみれば、フェアトレードの問題点をかなり改善したシステムとして、定着させられるような気がしないでもない。

ただし、そうなるまでには、フェアトレードの先駆者は困難な道を切り開いて進むフロンティアスピリットの発揮を求められるだろう。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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