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2007年7月14日

「送りバンド」 と 「キャスティングボード」

近頃、夕方過ぎに車で帰宅するときに、カーラジオのスイッチを入れると、ほとんど野球中継である。で、聞くともなしに聞いていて気にかかるのは、「送りバンド」という発音だ。

プロの解説者のくせに、「送りバント」を「送りバンド」というおっさん(誰とはいわないが)が、やたらと多いのだ。

この 「バント(bunt)」を 「バンド(band)」と言い間違える人はかなり多くて、朝日新聞のサイトまでが、昨年の甲子園野球の関連記事で 「バンド対策に集中」なんて見出しをアップしている。主催者のくせにね(参照 : もし削除されていたら、証拠のスクリーンショットもあるので、こちら へ)。

それで、ちょっと物好き心を起こして、「送りバンド」 のキーワードでググってみたら、「誤字追放委員会」 というサイトがトップにランクされていた。件の「送りバンド」は、このサイトの第 18回というページにある。

このサイトのおもしろいのは、「誤字指数」という数値を公表していることだ。例えば「送りバンド/送りバント」で言えば、Google の検索結果は、794 対 26,700 になるそうで、794/(794+26,700) で、誤字指数は 3%となる。

そうか、ネットの世界ではたったの 3%という間違いを、プロ野球選手上がりの解説者は、全国放送の電波に乗せて恥ずかしげもなく犯し続けているわけだ。気の毒に、誰も指摘してあげられないんだろうなあ。

ところが、このサイトをみると、誤字指数 67%という圧倒的な数字を誇る間違いがある。それは「キャスティングボート/キャスティングボード」である (参照)。正しいのは、もちろん「キャスティングボート(casting vote)」だ。

「Cast(投じる、配役する)」決め手の「vote (票)」だから、「キャスティングボート」なのだが、どうも、元の意味なんてまるで無頓着に、「キャスティングボードを握る」なんて書いてしまう人が多いようなのだ。

悪いことに、「きゃすてぃんぐぼーど」 で変換キーを叩いても、元々は 2つの英単語の組み合わせの複合語なものだから、素直に変換されてしまうのが痛恨なのだね。

で、実際の「キャスティングボード」 の検索結果をみると、上位には "「キャスティングボード」 は誤記" とか、"間違い" とか指摘したページが多いので、ちょっと安心するのだが、それでも、大まじめに 「○○党がキャスティングボードを握る」 なんて書いている人がかなり多い。

ちなみに、まともな英語で "casting board" というと、「配役を記した掲示板」だったり、「投げ矢かなにかの的」(占いとかで使うのかなあ)だったりするようだ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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言葉」カテゴリの記事

コメント

 こんにちは。
 仕事中にラジオを聴いていて気になるのが、
"feature"を"future"と発音する人の多さです。
プロの喋り手、それも英語に堪能なイメージのある人ですらこの間違いをおかしている場合があり、なんだかガックリきます。
 そのくせスポンサー名を言う時に"This program is brought you by …" なんて言っていたりする。結構気持ちの悪いものですね。

投稿: 江都屋黄金丸 | 2007年7月14日 18:42

江都屋黄金丸 さん:

そういえば、「○○をフューチャーして……」 なんて、言ってますね。

> "This program is brought you by …" 

「ブロウチュゥ・バイ・あじのもと」 なんて、最後のスポンサー名だけしっかり日本語で言われると、ちょっとスゴイものを感じますね ^^;)

(余計なことながら、"to" は取っときましたので、よろしく)

投稿: tak | 2007年7月14日 18:56

"to"削除、ありがとうございます。実は今の今まで"to"があるものとばかり思い込んでいまして。フューチャーにガックリきている場合ではありませんでしたね。失礼しました。

…と書きながらふと、あの小さい胴長短足の犬は"ダックスフント"だったか"ダックスフンド"だったかがとっても気になってきました。こういうのを考えるのは結構楽しいので、あえてすぐには調べずにおきます。

ではでは

投稿: 江都屋黄金丸 | 2007年7月14日 20:54

江都屋黄金丸 さん:

「ダックスフン○」 は、ドイツ語で dachs (アナグマ)を追いつめるための狩猟犬だと聞いていたので、dachs hunt (狩り) だと思い込んでました。

今、改めて調べたら、間違いだったのね。お恥ずかしい。

投稿: tak | 2007年7月16日 10:58

はじめまして。
今さらここにコメントしてよいものか、とも思いましたが・・・。
ラジオの "This program is~" については "to" が入っているのが正しいのではないかと思います。
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1321333878
のような質問も有りましたので。
誤記や言い間違いについて論じられているところでしたので、少々気になって書き込ませて頂きました。

投稿: sayz | 2011年2月 7日 01:16

sayz さん:

ご指摘ありがとうございます。

そうですね。完全に私の思い違いでした。

(早口の 「ブロウチューバイ…」 を、疑いなくそのまま受け入れすぎでした)

江都屋黄金丸 さん、ごめんなさい。
言いがかりでした。

投稿: tak | 2011年2月 7日 13:06

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