転生を許可制にしようとするおとぎ話
3日連続の中国ネタで恐縮だが、そのすごさに、あまりにも感動してしまったもので、つい取り上げてしまう。
例の 「転生」 の許可制導入ってやつである(参照)。すごい。ここまで露骨に政治が宗教を蹂躙する試みは、少なくとも近代史では類をみないんじゃあるまいか。
宗教はとくに我が国では、ややもすると因習的、前近代的なものとして、否定的な見方をされがちなのだが、メンタリティが近代に至っていないレジームでは、脱因習的、革新的なファクターとして機能することができる。
中国においては、歴史上、黄巾の乱、紅巾の乱、太平天国の乱など、宗教結社がレジーム・チェンジの重要な役割を果たしたことが幾度もあった。それだけに、現在の中国共産党も、気功集団など、宗教的な結社の動きに異常なまでに神経をとがらせるのは、歴代王朝の皇帝たちと変わりない。
それは、中国の体制が 「共産党政権という名前の王朝支配」であることを示していると、私なんぞは思っている。戦闘の舞台が、現実の国土から共産党内部の権力争いという、少しバーチャルなものに移行しただけの違いだ。
そんなだから、チベット仏教の指導者の輪廻転生という、メタフィジカルなコンセプトに、「許可制」なんぞというおとぎ話を言い出して、まったく恥じないのである。
ちなみに宗教は、近代的なレジームにおいては、ポスト・モダニズムのファクターたり得ることもある。以前、オウム真理教の中にそれを期待して、こけてしまった学者もいて、なかなか難しい課題なのだが、単なる因習と切って捨てるには、もったいないものなのである。
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