「チャイナフリー」を巡る冒険
日本産の米が中国に輸出され、現地価格が通常の中国産米の 30倍もするが、富裕層を中心に大好評とのニュース(参照)を聞いて、「あぁ、今度は偽日本米が出回るのか」と、脊髄反射的に心配になった。
ところが状況はそれ以上で、偽日本米は既に出回っていたというのである。
「ひとめぼれ」「こしひかり」「秋田小町」などが、既に中国市場で第三者によって商標登録されていて、中国で本物のこしひかりを売る際には、ブランドを隠さざるを得ないというのは聞いていた。
そして勝手にブランド登録されているだけでなく、"北京のスーパーマーケットなどでは既に「こしひかり」と書かれた中国産コメが流通"(参照)しているという。「そのうち偽日本米が出てくるだろう」ではなく、既に出回っていたというのだから、なかなかやるものである。
米だけでなく、そのうちリンゴもサクランボもマンゴーも、日本のブランドを称した偽物が出回るだろう。いや、多分もう既に出回っているに違いない。
で、こんな状況に加えて、本当は食えないものまで食わされるというリスクまであるというわけで、「チャイナフリー」というのが食品市場のキーワードになりつつある。発端は米国の健康食品会社が始めたことのようだ (参照)。
「何とかフリー」 というのは、"duty-free" が免税で、"smoke-free" が禁煙というのと同様、「○○を免れる」というような意味合いである。だから、"China-free" は、中国製の素材とか原料を含まないということを訴求しているわけだ。(だから「リンクフリー」というのは、本来は間違い英語)
で、その 「チャイナフリー」 という表示が世界中にはやり始めていて、秋葉原あたりのちょっと怪しいショップにまで波及しているというのがおもしろい(参照)。
この様子では、そのうち "China-free" の偽ラベルが出回るに違いない。日本のスーパーでも、既に「国産うなぎ」がやたら多すぎる気がするし。(本当は、日本のうなぎの 80%が中国産のはずなのに)
まごまごしているうちに、中国の国内市場が、「没包含中国」 なんて表示された商品だらけにならないとも限らないぞ。マジで。
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コメント
まぁ何というか、過去には日本でも偽「舶来」品が出回ったり、海外市場で日本製品=安かろう悪かろうだった時代があったり、というのを想起してしまいます。
投稿: 山辺響 | 2007年8月 7日 09:57
山辺響 さん:
戦後まもなくの頃は、アメリカで日本製の安物ブラウスが、「ワン・ダラー・ブラウス」(1ドル・ブラウス)として出回ったそうです。
しかし、それもほんの一時期で、あっという間に日本製は 「高品質」 の代名詞になってしまいました。
それは、ある意味では 「この程度の価格で、なんでここまで安定した高品質にしなきゃいけないんだ !? 馬鹿か!?」 というほどの、「生産性を度外視した過剰スペック」 の代名詞でして、よくジョークの種にまでなっています。
中国は、そうはならないだろうと、自信を持って断言します ^^;)
投稿: tak | 2007年8月 7日 10:18
お邪魔します。がんなむぅです。
お昼のワイド番組でやってました。
アメリカのジャーナリスト(…うろ覚え)が、『”Made in China”を排除して生活が成り立つのか?というテーマで、活動記録を本にまとめた』という話でした。
現実、難しい!当然アタクシも!(衣料品だけでもほとんどmade in China!!)
投稿: がんなむぅ | 2007年8月 7日 22:46
がんなむぅ さん:
つい 20年ぐらい前は、日本の市場で流通している衣料品は、ほとんど国産でした。当時、アメリカが衣料品のほとんどを輸入に頼る状態になっていて、いずれ日本もそうなるのかと思っていたら、ちゃんとそうなりました。
日本のマス市場の構造は、大体、アメリカの 10年遅れで動いてます。そうでないのは、自動車市場ぐらいのもので、トヨタ、ホンダは、偉いものです。
投稿: tak | 2007年8月 7日 23:22