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2007年8月31日

社員教育としての日本語検定

"会社が社員教育に「日本語検定」" というニュースによると、この検定の受験者の、6割近くが会社単位での団体受検なんだそうだ。

新入社員研修の一環として受けさせたりするらしい。記事には、福井信用金庫の例があって、ちなみに信用金庫では「新入社員」ではなく「新入職員」と称するらしい。

人事部研修課長のコメントとして「今年度の新入職員 51人全員に受検させました」とあるのだから、間違いない。「自主的に参加した職員を合わせて合計 109人が挑戦し、88人が合格しました」と、高らかに述べている。

これを受けてこの記事では、「受検者全体の合格率が 32.7%だった点から考えると、同社職員の成績は胸を張っていい」と評している。福井信用金庫、偉い! ただ、細かいツッコミだけど、「同社職員」というのは、ほんのちょっとだけ苦しいかも。

でもこの場合、「同社員」としたら二重の意味で間違いになるし、「同信用金庫職員」と書くのもうっとうしいしね。しょうがないかもしれない。いずれにしても、銀行や信用金庫の職員がきちんとした日本語を学ぶのは、とてもいいことだと思う。

以前、私の嫌いな某み〇ほ銀行が某第一〇業銀行という名前だった頃、その某支店の ATM の設置してある壁に 「明細票はご持参ください」 (太字にしたのは当方)という下手な手書き文字の貼り紙がしてあった。

そこにはざっと見ての印象、「いらっしゃいませ」と言うためが 9割以上、ATM の操作に戸惑っていそうなお客の手伝いをするためが 1割以下という役どころのオジサンが配置されていたので、我ながらちょっと意地悪なことに、「明細票を、どの窓口に持参したらいいんですか?」と聞いてみた。

ただ、これは完全に意地悪というわけじゃない。天下の某第一〇業銀行なんだから、こりゃいくら何でも恥ずかしい言葉違いと気付いてもらいたいという親切心だって、多少はあったのである。しかし、ことの次第は、そうは行かなかった。

そのオジサン、「明細票を屑篭にお捨てになりますと、拾われて犯罪に使われたりすることがございますので、ご持参くださいということなんです」と、ばかていねいに答える。確かに当時それっぽい犯罪があって話題になっていた。

しかし、私はそんなことを聞いたわけじゃないので、さらに追いつめる。

「だから、どの窓口に持参したらいいのか聞いてるんです」

「はぁ? ですから、ただご持参くださいと…」

「だから、どの窓口に?」

「いえ、ご自宅とか会社まで、ご持参いただきたいんです」

「だったら、『ご持参』じゃないでしょ。そりゃ『持って参れ』、つまり『持って来い』ということなんだから」

「はぁ…、そうなんですか」

そのオジサン、結局あまりよくわかっていないみたいだったが、翌週にはめでたく、「明細票はお持ち帰りください」 という貼り紙に差し替えられていた。文字も手書きからワープロで印刷したものに替わっていた。

某み〇ほ銀行、職員に日本語検定を受けさせてるかなあ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

デパートで「ペディキュア(足のマニキュア)」という表示はおかしいと指摘したけど迷惑そうに対応されただけだった、という人の話を思い出しました。
「印欧語では手の指と足の指を区別し、mani- は手を表す接頭語なので……云々」と一所懸命説明したけれども理解してもらえなかったようです。それどころか、「インテリぶって、つまらないことにこだわる変人」という目で見ているのがありありだったとか。
私なら「toe のことを foot's finger って言ったらおかしいでしょ」と説明するかな(^^;

投稿: Adrienne ◆HI8ebVe8lo | 2007年9月 1日 01:01

Adrienne ◆HI8ebVe8lo さん:

あはは (^o^)

実際問題として、「足のマニキュア」 と説明するのが、確かに変な言い方ですけど、一番手っ取り早いでしょうね。私なら許しちゃいます。

ちなみに、英語版の Wikipedia でも、

It basically is a manicure for the feet.

と説明されてました。

http://en.wikipedia.org/wiki/Pedicure

投稿: tak | 2007年9月 1日 01:52

なるほど~。
持って帰ることを「持参」というのは明らかな間違いだけど、「足のマニキュア」は言い方がちょっと変というだけですもんね。
私も、件のデパートで指摘した人ほどではないにしても、細かいことにこだわる傾向があるので気をつけないと(汗

投稿: Adrienne ◆HI8ebVe8lo | 2007年9月 1日 02:23

Adrienne ◆HI8ebVe8lo さん:

私も、ずぼらの割に、変なところにこだわったりしちゃいます。
でも、それも大切なことかもしれないと思ってます。

悪く現われるとうっとうしがられますが、よく現われれば、人の気付かないところに気付いて、改めることもできますからね。

投稿: tak | 2007年9月 1日 20:42

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