偽カシミヤセーターのお話
カシミヤ製品の虚偽表示が問題になっている。またしても、中国製である(参照)。
近頃、ずいぶん安い値段のカシミヤ・セーターが出回っているなあとは思っていた。しかし、よく考えれば、1万円以下でカシミヤ 100%のセーターができるわけない。それは、自ら「偽者です」と公言しているようなものだ。
「いくらなんでも、安すぎ。虚偽表示に決まってるじゃないか」というと、「いや、あれは、カシミヤはカシミヤでも、紡績の際に床に落ちた、カシミヤのクズ繊維を使っているので、カシミヤであることには間違いないんだ」なんて言い訳をする人もいた。
馬鹿を言っちゃいけない。「クズ繊維を使ったカシミヤ 100%糸」なんてものは、矛盾なのである。それ自体、「真っ赤なウソ」と公言しているようなものだ。
床に落ちるようなクズ繊維ということは、「紡績にかからなかった」ということだ。繊維長が短すぎて、いくら縒り合わせても糸になりようがないということである。つまり「クズ繊維」は、合繊などと混紡しないとまともな糸にならない。要するに、値段のものすごく安いカシミヤ 100% の商品なんて、あり得ないということだ。
毛製品検査協会に提出されたものは、特別に作った検査用のサンプルだったらしい。なかなかやるもんだ。こうなったら、中国製の製品は抜き打ち検査をするしかない。
そもそも安いセーターを買いたかったら、初めからカシミヤ 100%なんていう選択肢はないと割り切らなければならない。あり得ない商品を信じて仕入れてしまったというのは、ちょっと問題だと思う。
詐欺にひっかかるメンタリティには、「うますぎる話にまんまと乗っかる」という共通点がある。「うますぎる話」なんてないんだといくら言われても、乗っちゃう人は乗っちゃうのである。
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コメント
お久しぶりです
一万以下のカシミヤですか…
980円の国産鰻みたいな話ですがそれらを信用する人がまだいるんですね(;^_^A
またしても中国ってとこに関してはもはや笑いを越して呆れるしかないです
投稿: はじ | 2007年8月 6日 11:30
はじ さん:
いたるところ「国産うなぎ」があふれていますが、うなぎの 80%は中国からの輸入品のはずなんですよね。
どこで国産品に変わるんだろう。
魚沼産コシヒカリもあちこちにたくさんあるし。
投稿: tak | 2007年8月 6日 11:36