「衣替え」 と 「更衣」 の考察
昨日は帰宅して一気に気絶のごとき眠りにおちいり、本日昼近くになって、おもむろに更新作業を開始している。世間一般の 3連休の、最後の日ぐらいはゆっくり休もう。
と思ってはみたものの、9月中旬の休日にはまったく不似合いなほどの暑さである。熊谷では猛暑日復活になるようだ。
このところの雨模様でようやく世界が冷やされて、少しは秋の気配を感じ始めたと思ったのに、またまた強烈に暖め直されてしまっては、元の木阿弥だ。やっぱり、「暑さ寒さも彼岸まで」 というように、彼岸過ぎまで待たなければならないのだろうか。
世間では 6月 1日と 10月 1日を 「衣替え」 とする習慣が残っている。それで高校生なんかは、10月 1日になると一斉に上着を着て通学し始めるようだ。
それを見ていると、気の毒である。今時の 10月 1日なんていうのは、まだまだかなり暑い。ちょっと動くと汗ばんでしまう。そんな中、ムレムレになりやすいポリエステル素材の上着を着せて、思い鞄をぶら下げて通わせるのは、体に悪いと思う。
サラリーマンも同様である。ネクタイを締めてジャケットを着て満員電車の中で汗を流すのは、不合理なお話である。それで、近頃の通勤電車は、10月になっても当然のごとく冷房を入れている。
しかしあれは、ネクタイ、ジャケット着用サラリーマン仕様で、薄着の女の子なんかは、顔色も青ざめて寒さに耐えたりしている。それで、電車とオフィスの冷房対策のためだけに、カーディガンなどを持ち歩くことになる。
思えば、過度の冷房から身を守るために仕方なく持ち歩くカーディガンよりまだ分厚いジャケットを、サラリーマンは浮き世のしがらみで常に着用しなければならないのである。馬鹿馬鹿しい話である。これは、私なんかにはセクハラに思える。
ところで、衣替えとは、宮中から発した習慣なのだそうだ。Wikipedia には、次のように解説されている (参照)。
平安時代から始った習慣で、当時は中国の風習に倣って4月1日と10月1日に夏服と冬服を着替えると定め、これを 「更衣(こうい)」 と呼んだ。しかし、天皇の着替えの役目を持つ女官の職名も更衣と言い、後に天皇の寝所に奉仕する女官で女御 (にょうご) に次ぐ者を指すようになったので、民間では更衣とは言わず衣替えと言うようになった。
ほほう、なるほど。ただ、ここでいう 「4月 1日と 10月 1日」 というのは、旧暦の話だろうから、新暦で言えば、年によって多少ズレはあるが、大体 5月前半と 11月前半の時期ということになると思う。
で、ここで膝を叩きたくなるのは、私だけじゃないだろう。そもそも、この 「5月前半と 11月前半」 というのが、衣替えの最も現実的なタイミングなんじゃないかと思うのだ。現代の 6月 1日 と 10月 1日という衣替えは、夏服に着替えるのが遅すぎで、冬服に着替えるのが早すぎだ。
冬服に着替えるのが 11月前半というのは、遅すぎると思われるかもしれないが、実際には、この頃まではちょっと体を動かせば汗ばむぐらいのものである。今の世の中に寒がりが多いのは、まともな食生活をしていないのと、体を動かすことが減ったためだと、私なんかは思っている。
それに、近頃では温暖化現象で、実際に 10月一杯は冬服なんて見たくもないという気になるから、イニシエ式がちょうどいい。11月までは薄手の重ね着という方が実際的だ。
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