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2007年9月12日

「見た目」と「安全」

ちょっと古いニュースだが、今年の春に東京都が 「子ども用衣類の安全確保について」 という報告書をまとめている (参照)。

報告によると、フードやひもが遊具に引っかかって首つり状態になるなどのケースが少なからずあり、安全対策が求められているのだが、実際にはなかなか難しい問題だ。

業界に対しても安全基準の策定などが求められているわけだが、子供服業界ではフードやひも(ドローストリングス)などがデザインポイントになっていることもあって、「あんまり杓子定規にやると、デザインが制約される」という反発の声も上がっている。

私はこの問題で、昔の「白すぎる食品」の問題を思い出した。

あれって、いつ頃のことだったのだろう。白すぎるパンやうどんやかまぼこが問題になったことがあった。要するに、小麦粉や魚肉を漂白して真っ白にしていたのだが、健康への影響を考えたら、漂白なんてしない方がいいんじゃないかという声が上がったのだ。

ところが当時の食品業界の反応は、「消費者は真っ白な食物を求めている」「白くないと売れない」という声が圧倒的主流だった。今では信じられないような話だが。

私なんぞは、「あんまり白い食い物は、かえって気持ちが悪い」と思っていて、わざわざ「漂白剤不使用」という表示のある、自然な色のものを選んで買ったりしていたので、「食品業界って、なんてアホなことを言ってるんだ?」と呆れていた。

結論から言うと、その頃から徐々に食品添加物への関心が高まって、余計なものは入れない方がいいということになり、今ではスーパーの売り場を見ても、パンもうどんもかまぼこも、自然な色の食品が増えている。

要するに、消費者がちょっとだけ利口になったのだ。子供服だって同じような道をたどるだろうと、私は案外楽観的に考えている。

今では、必要もないフードやドローストリングスでコチャコチャ飾ったデザインが人気だが、なまじそんなものが付いているせいで、滑り台に引っかかって首が絞まったり、テーブルの脚に引っかかって、ガラガラドッシーンになったりすることがあるとわかれば、フツーの考えの親なら自然に避けるようになる。

「可愛らしいデザインでなきゃ、売れないんだもの」と言っている業界も、「やっぱり、安全の方が大事だよね」という消費者が増えてくれば、そうしたニーズに応えざるを得ない。そもそも、「可愛らしいって何か」というコンセプトだって、その時々でずいぶん変わるのだ。

要するに、消費者が利口になりさえすればいいのだ。中国製の危ない薬や食品や衣料だって、怪しげな謳い文句や安さに目がくらんだ消費者にも、責任がないとは言えないのだから。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

お邪魔します。がんなむぅでがんす。

中学3年生当時(昭和60年頃)、ご実家がレンコン農家の先生のお話です。

収穫したレンコンを薬品に浸して『漂白』する作業が、「目は痛いし、薬品臭いし、ゴム手袋しないと危険だし」ということでした。

「白くないと売れない(農協の指示)から仕方なくやっている」ということでしたが、「うちでは絶対食わない!というよりも食い物じゃない!」代物だった様です。

現在のスーパーマーケットでも、袋詰めの液体に浸った”白いレンコン”を目撃しますが、当時とは薬品も手法も当然違いますね。

投稿: がんなむぅ | 2007年9月12日 16:57

がんなむぅ さん:

怖いお話ですね。
確かに、今でも漂白は皆無じゃないようです。
余計な手間と金をかけて、体に悪いことしてるというのは、どう考えても馬鹿馬鹿しいんですが、やっぱり、消費者の責任というのもあるんでしょうね。

投稿: tak | 2007年9月12日 17:38

おや?がんなむぅさん同世代じゃないですか
もっと年上だと思ってましたよ(笑)


漂白とは関係ないコメントで申し訳ありません

投稿: はじ | 2007年9月13日 01:02

はじ さん:

昭和 60年といえば、私しゃ、30歳をとっくに過ぎてた。
(トホホ ^^;)

投稿: tak | 2007年9月13日 01:26

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