野間道場保存運動が前進
昨年 7月に「都心の一等地の剣道場は無駄か?」という記事を書いた。くまさんという方からの情報で、講談社の敷地内にある野間道場が、取り壊しになると聞いたからである。
ずっと気になっていたのだが、うれしいことに、くまさんたちの保存運動が実を結びかけているようだ。まだ最終決定じゃないようだが。
野間道場については上記のリンクで、私の昨年 7月の記事と、そこからのリンクを辿ってもらえばわかると思うので、ここではあえてくどくどとは書かない。ただ、日本の剣道界のモニュメントであるばかりでなく、建築史的にも非常に貴重な建造物であるとだけ繰り返しておこう。
で、その貴重な建造物である野間道場の保存に、かなり現実的な希望が出てきたようなのだ。日刊スポーツのサイトに、昨日付で 【“剣士の聖地” 「野間道場」 解体に待った】 という記事が出ている。
講談社創設者の野間清治氏の故郷である群馬県桐生市の市民団体が、移築受け入れに積極的な姿勢を示しているというのである。ただ、桐生市には土地はあっても金がないので、全国の剣士から募金を集めることになりそうだという。
移築と建築には、約 2億円かかると見込まれるが、全国の剣士 200万人が、1人 100円献資すれば OK という計算だ。200万人のうち、仮に 10%しか募金に応じなかったとしても、1人 1,000円である。
いや、最悪、1万円出す人が 5千人、5千円出す人が 1万人いれば、あとは、50万人が 200円ずつ出せば 2億円になる。剣道界にしてみれば、ちょろいとまでは言わないが、そんなに大変な話ではないだろう。
それにしても、仮にも出版という文化産業におけるメジャー企業である講談社が、自社の財産であり文化遺産でもある野間道場の保存に積極的な姿勢を全然示していないということが、私は個人的にはちょっと信じられない。「お荷物」と取るか「財産」と取るかの違いなのだろうが。
自分がもっている文化遺産をドブに捨てるようなことを平気でする出版社というのが、信用に足るだろうかという気もする。講談社のサイトの「文化事業」というページをみると、「へぇ、この程度しかやってないの?」と驚いてしまうし。
野間道場に関する講談社の姿勢をみると、文化産業を担う企業としてイメージダウンなんじゃないかと、つまり、かなり恥ずかしいことなんじゃないかと、もっと言えば、逆宣伝してるんじゃないかと、私なんか、部外者の気楽さかもしれないけれど、思ってしまうがなあ。
逆に言えば、きちんと保存していろいろなプロモーションに使えば、企業の宣伝、イメージアップにつながるだろうに。有効活用すればかなりの価値を生む貴重な財産なんだと、講談社側がちっとも気付いていないらしいことに驚く。
後々になって、こんなにも貴重な文化遺産のケアを、やっかい払いの如く地方都市の市民団体に押しつけた企業なんだと言われるだろうことが、本当に気の毒である。
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