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2007年10月29日

ハロウィーンの換骨奪胎

日本でもハロウィーンが、だんだん浸透し始めているらしい。そういえば、ショッピングセンターやコンビニでは、あのアカカボチャのジャック・オ・ランタンが山積みされて売られている。

でも、一体どんな形で浸透しているんだろうか? 子どもたちが "Trick or treat" と言って近所を回っている風でもないし。

日本に西洋の風習が定着するのは、商業主義的な思惑と一致したときで、まず最初に、そして最も大規模に定着したのが、クリスマスである。なにしろ、「クリスマス商戦」 という言葉があるぐらいだから、この行事は本来のイエス・キリストの生誕を祝うという意義なんぞすっかり忘れ去られて、商売の道具にされているのだ。

その次に思い浮かぶのが、バレンタインデーだ。これも、本来の意義はどうでもよくなって、チョコレートを贈る日ということになっている。そしてその関連の「ホワイトデー」なんて、由来が怪しすぎるのだが、なにしろ「お返し需要」の名目で商売するためだから、固いことは言わないのである。

そして、第三のイベントが、ハロウィーンである。これが日本市場に定着し始めるのに、戦後約 60年を費やしてしまったのは、一重に、これをどうやって商売に利用するか、こなし方がわからなかったからである。ジャック・オ・ランタンなんて、チョコレートほど数が売れるとは思われないし。

ところが近頃になって、ようやくこなし方が見えてきた。それはパーティ需要である。何でもいいから、仮装パーティを開かせてしまえばいいのだ。その関連で、仮装関連の商品が売れる。パーティ会場などのサービス業も潤う。

私はずっと前から、ハロウィーンの仮装は西欧の顔立ちの子にしか似合わないものだと思っていた。それは当然で、西欧のイメージのお化けを可愛くこなしたのが、ハロウィーンの仮装の定番だからである。あんなのを、のっぺりしたアジア人の顔立ちでやっても、ちょっとなあという感じなのだ。

ところが、さすが日本の商業主義である。ハロウィーンの仮装は、もう西洋のお化けでなくてよくなったのだ。ちょっと変わった格好さえしていれば、何でも OK ということのようなのである。単にハロウィーンという名前の仮装大会ということになったようなのだ。

うちの娘も、こないだハロウィーン・パーティ用の仮装グッズを買ってきた。それは西洋のお化けとは全然無関係の、日本のアニメ趣味である。なるほど、こうして日本の商業資本は、難易度が高くてなかなかこなせなかったハロウィーンを、ようやく換骨奪胎して商売にできたようなのだ。

そういえば、クリスマスでもバレンタインでも、こうして換骨奪胎してローカライズしてきたのだから、何も驚くにはあたらないだろう。(でも、やっぱりちょっと驚くけど)

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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