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2007年10月22日

まったくもう、昭和なんだから!

ちょっと前のラジオで、何の番組だか忘れたが、キャスターが 「電車の中で、OL が上司の悪口を言ってるのを聞いて、ものすごいショックを受けた」 とこぼしていた。

どんな悪口かというと、「まったくもう、課長って昭和なんだから!」 という言い草だったんだそうだ。なるほど、ショックかもね。

私なんか、今でも「平成○○年」と言うべきところを「昭和…」と言いかけてしまうことがよくある。それほど昭和ってヘビーな時代なのだ。それを「昭和なんだから」という一言で没イメージのシンボルみたいな言い方をされたら、そりゃもう、がっくりくるのも無理もない。

この話を聞いて私は、「その OL たちだって、高卒の新入社員でもないかぎり、ほぼ確実に昭和生まれのはずじゃないか」と思った。つまり、多少の自虐的ニュアンスを込めた物言いかと深読みし、それなら十分許せると感じたのだが、どうもそうじゃないらしい。

彼女らは、自らも(多分)昭和生まれのくせに、完璧に「忌み嫌うべき傾向」として「昭和」を名指ししているようなのだ。これはちょっと捨て置けない気がする。

とはいいながら、平成の御代ももう 19年である。間もなく平成生まれの成人が出現するのだ。そして既に成人した 20代前半の連中にしても、物心ついたときには平成の御代になっていたのである。彼らはもっぱら平成のムードの中で育ってきたのだ。

となると、彼らの考え方では「古くさい価値観」はすべて「昭和」で片付けられてしまっていたとしても、不思議はない。ある意味、直近の時代ほど因習的に感じてしまうのだ。

昭和、しかも戦後生まれの私の世代にとっては、明治という時代は「気骨のある輝かしい世代」で、大正は「大正デモクラシー」に代表されるように、ちょっとモダンな感覚をうかがわせる。

ところが同じ昭和でも、戦前ということになると、とたんに落ちる。大した情報も持ち合わせていなかったくせに、妙につけあがって「鬼畜米英」「打ちてし止まん」などと言い出した愚かしい時代というイメージがある。申し訳ないけど。

もしかしたら、平成メンタリティの若い連中は、やたらと面倒な理屈をこねたがる昭和世代(会社の上司というのだから、多分戦後世代だろう)を、私が戦前生まれの頑固親父に感じるのと共通した違和感をもってみているのかもしれず、逆に戦前派を見る目は、私が明治や大正世代を見る視線に近いのかもしれない。

つまり、ちょっと前の「戦前派」みたいなイメージが、平成世代にとっては「昭和」なのだと思えば少し理解できる。まあ、確かに「比較的近くて、ちょっと違う」という価値観の方が、むっときやすいのは確かだけどね。

それから話しは変わるが、中学生の 2割が「死んでも生き返る」と思っているというニュース(参照)が話題になっている。これについて一言触れようと思ったが、以前に似たような問題について書いていて、そっちを読んでもらう方が手っ取り早いので、敢えて新しい記事は書かないことにする。(参照 : 「人は死んでも生き返るか?」)

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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