« 野間道場保存運動が前進 | トップページ | 喪中と年賀状 »

2007年10月20日

車とステイタス

我が家の末娘は、酒田に里帰りすると、道路を行き交う車が茨城県のつくば周辺に比べて、平均的にずっと小さいのに驚くという。

これはなにも地域経済格差で、酒田の人が高級車を買えないというばかりではない。多分、酒田の人間は、あまり車にステータスシンボルとしての意義を求めないのだと思う。

確かに、酒田に帰って車を運転していると、行き交う車は軽自動車がとても多い。クラウンとかレクサス系とかのレベルの車種は本当に少ないし、さらにベンツとかになるとほとんど見かけない。

一方、茨城県の道路を走ると、押し出しの立派な車がとても多い。若いフリーターのおねえちゃんが、シーマで通勤していたりする。ジャージ姿のおっさんがベンツでホームセンターに乗り付けて、安売りのトイレットペーパーをごっそり買い込む姿は、なかなか壮観だ。

私はここに、車への関わり方の両極端をみる思いがする。

酒田の人たちにとっての車は、まさに「下駄代わり」という言い方に近い。公共交通機関があまり整備されていないから、どこに行くにも車を使うしかなく、1人 1台に近い普及率である。車は全然特別のものじゃないので、手軽で燃費のいい軽自動車が最も現実的な選択肢になる。

高級車に乗っていても、あまり羨望の目で見られることもない。かえって、「メンテや税金が高くて大変だね」なんて思われるのがオチだ。酒田は商業都市だけに、見栄を張らない現実主義が優勢である。

それに比べて茨城の人というのは、案外見栄を張るのが好きなんじゃないかと思う。檜造りの豪邸とかベンツとか、とにかく「立派な押し出し」が大好きという印象がある。

私は以前、8人乗りのエスティマ・ルシーダに乗っていた。排気量は 2500 cc だったと思う。家族 5人に、犬 1匹、猫 2匹を乗せて、里帰りしたりオートキャンプをしたりしていたから、物理的にこのくらいの大きさが必要だったのだ。

やがて、子どもたちが育ってあまり家族全員揃っての遠出をしなくなり、犬も死んでしまったので、2代目イプサム(2000 cc) に乗り換えた。さらに、娘たちがそれぞれ自分の車を持つようになったので、最近は、マツダのデミオ(1300 cc)に乗っている。

以前、近所のオッサンに「小さな車に乗り換えると、寂しくないですか?」と声をかけられた。こちらは、むしろコンパクト・カーの取り回しの楽さ加減にご機嫌だったので、「はあ?」ってな感じだったのだが、思い返して、茨城の人は車をそういう目で見ているのだなと、納得した。

私は何年茨城に住んでも、茨城気質にはなれないみたいなのだ。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

|

« 野間道場保存運動が前進 | トップページ | 喪中と年賀状 »

世間話」カテゴリの記事

コメント

県人気質というものに興味があって、以前に、何回か日記に書いたことがあります。

ただ廃藩置県以前の「藩」が本来の気質という文化を産んだ単位なので、同じ圏でも、二つの藩が統合されていたりする場合は、地域によって気質が異なるようですね。

茨城県の人達は、一般には、見栄っ張りで運転が荒いと言われていますね。


投稿: alex99 | 2007年10月21日 12:14

alex さん:

>二つの藩が統合されていたりする場合は、地域によって気質が異なるようですね。

そうそう、そうです!
私も自分が 「山形県人」 であることは不承不承認めますが、「山形人」 扱いされたら、「俺は、山形人じゃないよ」 と言っちゃいます。

庄内人ですから。

>茨城県の人達は、一般には、見栄っ張りで運転が荒いと言われていますね。

う~ん、確かに 「大将、さすが、立派なモンだねぇ!」 と言われるのを無上の喜びとしている人が多いような気がします。

それから、運転もなかなかのものですよ。
茨城の人は、法定速度の 2倍までは出していいと思っていると言われるぐらいですから。

投稿: tak | 2007年10月21日 17:02

私の近所では外車率はガレージを覗く限りは大体20%くらいでしょうか。ベンツ、BMW、ゴルフ当たり前です。奥さんが朝夕、旦那をベンツで駅まで送り迎えのシーンが毎日見られます。フリーターっぽいにいちゃんまでもがベンツ(多分中古)に乗ってます。都会人にとって車はやはり特別な存在のようです。しかし車の販売台数が10年前と比較すると100万台も減少しているそうで、もはや車で自身の何かを表現しようとするのは終わりを迎えつつあるようです。

真に必要としない道具に金をかけるのはばかげていると感じ始めているのでしょうか。

投稿: 偽浜っ子 | 2007年10月25日 10:00

偽浜っ子 さん:

>私の近所では外車率はガレージを覗く限りは大体20%くらいでしょうか。ベンツ、BMW、ゴルフ当たり前です。

そりゃまた、かなりのもんですね。

>しかし車の販売台数が10年前と比較すると100万台も減少しているそうで、もはや車で自身の何かを表現しようとするのは終わりを迎えつつあるようです。

「若者のクルマ離れ」 なんて言われてますもんね。
乗車するときスリッパに履き替える 「土足厳禁」 のクルマなんて、今は昔の物語ですね。

投稿: tak | 2007年10月25日 23:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 車とステイタス:

« 野間道場保存運動が前進 | トップページ | 喪中と年賀状 »