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2007年10月25日

"FLEECE AND GO" はちょっとなあ

昨日、たまたまユニクロの新しいテレビ CM を見て、ちょっと絶句してしまった。キャッチコピーは、"FLEECE AND GO" だという。

「フリースを着て出かけよう」 という日本語がついているが、これ、ちょっとなあ。"Fleece" を動詞で用いると、「フリースを着る」 という意味じゃなく、ヤバイ意味になるのだよ。

"Fleece" という単語は、名詞では「フリース」そのものだ。元々の意味は、刈ったばかりの羊毛のことである。羊毛は絡まり合って生えているので、刈ったばかりだと、いわゆるフリースの生地みたいにぞろっとつながっているのである。

そして動詞で使うと、「羊の毛を刈る」という意味になってしまう。さらにスラングなのだけれど、「羊とプードルとフリースの三題噺」 という記事でも書いたように、「だまして巻き上げる」という意味もあるのだ。(参照

羊さんがせっかく 1年かけて生やした羊毛を、あっという間に身ぐるみ剥いで丸裸にしちゃうのだから、まさに「だまして巻き上げる」なんだろうと、このスラングのニュアンスもわかるような気がする。

てことは、"FLEECE AND GO" というキャッチコピーは、「羊の毛を刈って行っちゃいな」または「うまく巻き上げて行っちゃいな」という意味になっちゃうのだよ。

Engrish ネタが、また一つ増えてしまったようだ。大丈夫かなあ、ユニクロさん。パリとか、ロンドンとかにも出店するらしいけど。

この類で最高傑作とされるのは、JAS の "Akita to Okinawa, Non Stop Fright" というやつである。「秋田、沖縄まで "絶え間ない恐怖"」 というのだから、なかなかのものだ。もちろん、"flight" (飛行) と "fright" (恐怖) の取り違えなのだが。

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そのほかでは、街中あちこちでみかける "Flesh Juice" (肉体ジュース)も、私なんか、かなりわなわな来るのだけれど。

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毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

 

 

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コメント

もう少し恐くない奴。

実家の近所のスーパーに、「Daily Foods」という
コーナーがありました。牛乳とかチーズとかバター
とかが並んでました。

「毎日食べるなら野菜も欠かさない方がいいぞ」と
思った次第であります。

※正しくはDairyですね。

投稿: 山辺響 | 2007年10月25日 10:15

山辺響 さん:

>実家の近所のスーパーに、「Daily Foods」という
>コーナーがありました。牛乳とかチーズとかバター
>とかが並んでました。

わはは (^o^) これも定番ですね。
多分、日本中調べても、「Daily Foods」の方が多いんじゃないかと思うくらいです。

(追記)
こんな例もありました。

http://kei-english.jugem.jp/?eid=243

投稿: tak | 2007年10月25日 23:08

オッチャンです。ご無沙汰です。

 「ライスペーパー」でも、だめなやつがあるみたいです…。

投稿: オッチャン | 2007年10月26日 12:15

オッチャン:

「ライスペーパー」 って、春巻の皮ですよね。
もしかして、"lice" (シラミの複数形) になっちゃうとやばいってことですかね。

単数形だと "louse" で、その形容詞形が "lousy" です。
日本語にしたら、「だっせー!」 とか 「むかつく!」 って感じかな。
『ライ麦畑でつかまえて』 のホールデン君が、連発してます。
(村上春樹はどう訳してるんだか知りませんが)

投稿: tak | 2007年10月27日 06:12

私もFlesh juiceをあの有名なコーヒーショップの店頭で見かけて絶句したことがあります。店員に教えてあげようか迷いましたが止めました。教えるほうもそれなりのエネルギーが要るのです。

投稿: 偽浜っ子 | 2007年10月28日 11:37

偽浜っ子 さん:

羽田空港の JAL の側のビルのロビー内のアートコーヒー (ああ、具体的に言っちゃった) のメニューなんか、ものすごかったですよ。

わずか 7~8行のメニューで、3カ所ほどぎょっとさせられたので、注文の品を受け取るとき、思わず、「英和辞書調べて、書き直すように、マネジャーに言った方がいいよ」 と言っちゃいました。

(今は修正されてるかなあ? 滅多に JAL を使わないので、確認できてません)

投稿: tak | 2007年10月28日 12:07

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