庄内 On My Mind
昨日の東京の最高気温は 11度ぐらいだったようだ。日が昇ってもあまり暖かくならず、昼前からはむしろどんどん気温が下がってきたような印象で、とにかく風が冷たかった。
朝から空は重苦しい荒涼とした灰色。私にとっては、ああいうのが「冬空」のイメージなのだが、関東生まれの人間は違うらしい。
関東に限らず、日本の太平洋側で生まれ育った人にとっての「冬空」は、「くっきりと晴れ渡り、冷たく引き締まってきりりとした感じ」なんだそうだ。日本海側で生まれ育った私にとっては、「冬空」といえば、関東に 30年以上住んだ今でも、重苦しい灰色の雲が立ちこめているものなのだが。
ところが、昨日は関東の方がどんよりとした重苦しい空になってしまった。ふと思い立って、庄内のリアルタイム映像を配信してくれている 庄内 Cam さんのバナーをクリックしたら、雲一つなく晴れ渡った空を背景に、鳥海山がくっきりと聳えている姿が目に飛び込んできた。
山頂付近は既に白雪に覆われている。やっぱり生まれ育った土地を代表する山というのは特別なもので、ある意味黙示的な存在である。冠雪した姿は、ますます神々しいイメージがある。
ああやはり、関東の空と故郷の空は、冬シーズンに限って言えば対照的な関係にあるのだ。関東が晴れれば庄内は地吹雪。たまに関東が曇れば、庄内は束の間の晴天になる。
18歳の春に大学に入って上京した私は、その年の年末がよくよく押し迫るまで、冬になったとは気付かなかった。なにしろそんなに寒くないし、空は晴れ渡っているし、大学は紛争が長引いてずっとロックアウトされていて、夏休みからずっと休みが続いているようなもので、いつから冬休みなんだか、はっきりしなかったし。
そして、ふと気付いたら街にはジングルベルが流れ、正月が近かったのである。バイトに明け暮れる生活をしていた私は、妙に驚いてしまった。
「もう、冬だったのか。それにしても、冬なのに、なんでまた、こんなに天気がいいんだ!?」
これが関東の冬だったかと、改めて感動した。からりと明るく、すっきりとした冬。地吹雪の吹きまくる庄内の冬とは大違いである。「こりゃ、やめられん!」と、私は思った。ここは天国である。吹雪が吹かないだけで、天国なのである。金輪際、庄内になんか帰るものか。
ところが今、私はあの地吹雪が妙に懐かしい。私の心のベースは、やはり庄内にあるようなのだ。冬は荒涼とした空の下、雪が舞い、時としてホワイトアウトしてしまうほどの地吹雪になる、あの庄内が懐かしい。
| 固定リンク
| コメント (8)
| トラックバック (0)








最近のコメント