大連立に 「はぁ?」 以外のことを言ってみる
「はぁ?」 の一言しか出なかった 「大連立」 のニュースだが、ちょっと深読みしてみると、決して「政界のトンデモ」とばかりも言えないんじゃなかろうかという気がしてきた。
私だって、最初は「二大政党制を求めて小選挙区制を作ったのは、小沢さん、あんたじゃないか!」と、単純に思ったのだよ。
そして前回の参院選で、民主党がようやく二大政党の一翼としての格好がつくんじゃなかろうかと思われ始めた矢先に、このニュースである。これじゃ、受け入れられるわけがない。まともに考えれば、それは誰だってわかる。
しかしよく考えてみると、自民党と民主党の二大政党制が実現したとして、我々は選挙で何を基準に投票の判断をすればいいのかということが、さっぱりわからないのである。両党とも右から左へ広がる大変なバラエティで、キーとなるコンセプトが見えないじゃないか。
これは誰もが指摘することだけれど、民主党の右は自民党の左よりずっと右で、自民党の左は民主党の右よりずっと左という「ねじれ現象」が明白なのである。アメリカの共和党と民主党だって、それは多少はあるけれど、日本の場合は度が過ぎる。これでは自民党も民主党も、内心は党内運営というか、調整が大変だろう。
だったら右は右同士、左は左同士でくっついてくれる方が、政治家としても国民としても、ずっとわかりやすいのだ。元々、政党ってそうしたもんだろうよ。
ところが現状は、その時々の政争で勝ったものが中枢を占め、負けたものが追い出され、うまく立ち回ったものが、主義主張を棚上げしてまで要職に食い込むといったことを、戦後 60年以上も繰り返してきた結果としかいいようがない。
そのせいでもう、自民党の同じ派閥の中でも右から左までいるという、わけのわからん状態になってしまったのだ。このままの状態で「二大政党制」なんかに突入したとしても、実際はこうした「わけわからん状態」がますます入り組んでしまって、時々の勢いとか、雰囲気とかで選ぶという馬鹿馬鹿しいことになるだろう。
政権交代が、単に「目先を変える」という意味合いしかなくなったら、それは自民党内部の派閥抗争と大して違わないレベルのお話に矮小化されてしまう。
今回の「大連立提案」は、こうした状況を一度整理してガラガラポンし、政界再編成を模索する動きにつながるものだという深読みが、あちこちでなされている。ふぅむ、なるほど。本当にサクサクっとそうなってくれれば、国民としてはとってもわかりやすいよね。
しかし困ったことに、そうしたわかりやすい状況にたどり着く前に、密室での党首会談とか根回しとか、なんだとかかんだとか、とってもわかりにくい因習的手法が、この国では不可欠なのだよ。こうしたプロセスの段階で、まず拒否反応が示される。今回みたいに。
とくに、今は自民、民主両党の代表が、調整型と豪腕型の両極端ではあるが、言ってみれば密室における従来型手法の権化みたいなお二人なので、こんな反感をかってしまったのだと思うのだ。
ただ政界再編成のニーズは根底にあるので、この動きは形を変えて何度も出てくることになるんだろうな。ウソでも 100回繰り返せば本当になるというから、いつか実現しちゃうのかもしれない。
とりあえず今は、「わかりにくいことはダメ」という流れになっているのだということを、政治家たちに深く認識してもらわないと、何も進まない。小泉政権の最大の教訓は、「(一見)わかりやすく打ち出しさえすれば、圧倒的支持を得られる」ということだったのだから。
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コメント
こういう議論の基盤には、二大政党システムが最良であるという「錯覚」・「無知」があるようですが、二大政党制なんてアングロサクソンの英・米以外ではスタンダードではない。
欧州大陸では、連立内閣が半ば常識でもある。
それに二大政党制と言っても、自民と民主なんて、どれほど実質的な違いがあるかな?
投稿: alex99 | 2007年11月 4日 23:00
alex さん:
欧州型の連立政権は、日本にはあまり向かないと思います。
「俺が、俺が」 と強烈に自己主張しつつ、現実的には要所要所で他と手を結んでアドバンテージを得ていくというタクティクスが、日本人には欠けていると思うんで。
日本に最も向いているのは、自民党の絶対多数の中で、派閥が出たりへこんだりする 「寄り合い型」 なんでしょうけど、それが今、ちょっと勤続疲労を起こしてるんで、とりあえず、その絶対多数の中の派閥をばっくりと割って、二大政党型にするといいのかもと、思われてるんでしょうね。
でも、そこに辿り着くまでが難儀すぎて、わけわからんという状態です。
投稿: tak | 2007年11月 5日 03:05