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2007年11月30日

庄内 On My Mind

昨日の東京の最高気温は 11度ぐらいだったようだ。日が昇ってもあまり暖かくならず、昼前からはむしろどんどん気温が下がってきたような印象で、とにかく風が冷たかった。

朝から空は重苦しい荒涼とした灰色。私にとっては、ああいうのが「冬空」のイメージなのだが、関東生まれの人間は違うらしい。

関東に限らず、日本の太平洋側で生まれ育った人にとっての「冬空」は、「くっきりと晴れ渡り、冷たく引き締まってきりりとした感じ」なんだそうだ。日本海側で生まれ育った私にとっては、「冬空」といえば、関東に 30年以上住んだ今でも、重苦しい灰色の雲が立ちこめているものなのだが。

ところが、昨日は関東の方がどんよりとした重苦しい空になってしまった。ふと思い立って、庄内のリアルタイム映像を配信してくれている 庄内 Cam さんのバナーをクリックしたら、雲一つなく晴れ渡った空を背景に、鳥海山がくっきりと聳えている姿が目に飛び込んできた。

山頂付近は既に白雪に覆われている。やっぱり生まれ育った土地を代表する山というのは特別なもので、ある意味黙示的な存在である。冠雪した姿は、ますます神々しいイメージがある。

ああやはり、関東の空と故郷の空は、冬シーズンに限って言えば対照的な関係にあるのだ。関東が晴れれば庄内は地吹雪。たまに関東が曇れば、庄内は束の間の晴天になる。

18歳の春に大学に入って上京した私は、その年の年末がよくよく押し迫るまで、冬になったとは気付かなかった。なにしろそんなに寒くないし、空は晴れ渡っているし、大学は紛争が長引いてずっとロックアウトされていて、夏休みからずっと休みが続いているようなもので、いつから冬休みなんだか、はっきりしなかったし。

そして、ふと気付いたら街にはジングルベルが流れ、正月が近かったのである。バイトに明け暮れる生活をしていた私は、妙に驚いてしまった。

「もう、冬だったのか。それにしても、冬なのに、なんでまた、こんなに天気がいいんだ!?」

これが関東の冬だったかと、改めて感動した。からりと明るく、すっきりとした冬。地吹雪の吹きまくる庄内の冬とは大違いである。「こりゃ、やめられん!」と、私は思った。ここは天国である。吹雪が吹かないだけで、天国なのである。金輪際、庄内になんか帰るものか。

ところが今、私はあの地吹雪が妙に懐かしい。私の心のベースは、やはり庄内にあるようなのだ。冬は荒涼とした空の下、雪が舞い、時としてホワイトアウトしてしまうほどの地吹雪になる、あの庄内が懐かしい。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

大阪、特に神戸よりの場所で育った私にとって、上京しておどろいたものは

 関東ロームの黒い土 (陰鬱な気分になりました)

 東京のウドンの真っ黒な汁と全くうまくない味

でした。

投稿: alex99 | 2007年11月30日 13:11

田舎に帰ったら、ハイビスカスがまだ咲いてました。
ちょっとおかしくなりそう。
関東は寒いです。
でも、こっちの気候のほうが気持ちがしゃんとするようです。
空気に形があるようです。

投稿: osa | 2007年12月 1日 02:00

alex さん:

>大阪、特に神戸よりの場所で育った私にとって、上京しておどろいたものは

>関東ロームの黒い土 (陰鬱な気分になりました)

ははぁ、私が上京したときは、土なんてどこにもなかったです。
(最初に住んだのが板橋区でしたが、最寄りの駅が池袋でしたから)

それからすぐに杉並区の下井草に越したら、ちょっとだけ土がありました。
その時の印象は、「砂がないなあ」 というものでした。
庄内砂丘の砂が冬の季節風に乗って飛ばされるので、酒田の地表は砂で覆われていることが多いんです。

>東京のウドンの真っ黒な汁と全くうまくない味

これは、まったく同感。酒田のうどん汁は、上方の影響 (西回り航路のせいかなあ) なのか、あんなにどす黒くありません。
東京に来てすぐ、「東京にはうどんはない」 と思うようにしました。
そのかわり、田舎のそばとは違った 「江戸前のそば」 というものがあると知りました。

でも、近頃は讃岐うどんが東京にもかなり進出していて、結構うまいうどんが食えますよ。

投稿: tak | 2007年12月 1日 09:29

osa さん:

osa さんは九州出身なんですね。最近のブログの写真、とてもいい感じです。

東北出身の者が九州に行くと、ちょっと不思議な感じがします。

別の国に思えるほどの違いは、まず、妙に暖かいこと。すごい日射し。そして、なんだか見慣れない食べ物が一杯ある。名前だけではどんな食い物だか、想像もつかないのが多い。

そのくせ、何だか懐かしい気がするのは、山ふところが深いところ。生えている木はかなり違いますけどね。

それから、言葉のアクセントが、妙に東北に近いような気もするんです。
(これは、都からの距離が同じぐらい離れてるから、昔のアクセントが残ったのかもしれないと思ってます)

熊本県は、熊本市に 2度、人吉に 2度行ってます。行くたびに、好きになる土地です。

投稿: tak | 2007年12月 1日 09:47

私は上州生まれですが、上州のからっ風は住んでいた頃はうんざりでした。冬には寒さでほっぺたがピシピシと痛いほどでした。自転車も風で前に進まず、おらあこんな田舎もう嫌だ!で今は縁あって横浜住まい。横浜は温暖で風もなくなんて住みやすいんだと思っています。しかし今の上州はすっかり気候が変わってしまい、子供の頃あれほど嫌った厳しい寒さとからっ風は今は殆んど無く、田舎に帰ると寂しさを感じます。
田舎の記憶は気候と切り離すことはできないもののようです。

投稿: 偽浜っ子 | 2007年12月 3日 01:03

偽浜っ子 さん:

空っ風は確かに冷たいですね。
若い頃、冬のさなかに上州に行った時は、「谷川連峰の向こうに雪をおいて、冷たさだけになって吹き降ろしてくるんだなあ」 と思いました。

そういえば、東京の多摩地区だって、昔はかなり寒い思いをしましたが、今はそれほどでもないですね。
実は、1970年代から 80年代にかけて、国分寺市に 5年、武蔵野市に 5年ほど住んでるんですよ。
あの頃は、きちんと寒かったなあ。

投稿: tak | 2007年12月 3日 10:29

はじめまして!酒田市在住です。本日、ひょうんなことからこちらに漂流して参りました。私もブログを書いておりまして、「鳥海山」の写真をたくさん載せたページをTBさせて頂きます。
昨日から地吹雪で、昨日の羽田ー庄内便は4便中3便が欠航したそうです。羽越線も特急も運休だらけ。今日も強い風が吹いていますが、今、ちょっと陽が差してきました。回復すると、いいなぁ、、、

投稿: balaine | 2008年1月25日 10:21

balaine さん:

ようこそいらっしゃいました。
ブログ拝見しました。

酒田の吹雪は大変だったでしょうね。

おぉっとぉ! お医者さんなんですね!!
私、医者嫌いと自分では言っておりますが、
医者に行くのが嫌いなのであって、
お医者さんが嫌いというわけではないので、
そのあたり、よろしくお願いいたします。

何かあったら、その時はよろしく!

投稿: tak | 2008年1月25日 20:14

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