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2007年11月15日

若者の車離れ、酒離れ、野球離れ

先だっての自動車ショーの前に、「若者の車離れ」が話題になった。そればかりではない。若者の「酒離れ」も言われて久しいし、野球にも興味がなくなっているらしい。

「車に関心がなくて、酒も飲まず、野球も見ないんじゃ、一体、何を楽しみに生きてるんだ?」 とは、おっさんの呟きである。

多くのおっさんにとっては、本当に不思議なことらしい。車、酒、野球というのは、男なら誰でも夢中になっていいはずなのに、何でまた今の若い連中は、そんなに面白みのないことになっていられるんだ?

私は年齢的には十分におっさんで、決して若ぶっているわけではないのだが、近頃、車にも酒にも野球にも、かなり冷淡である。

車には必要に迫られて毎日乗っているが、選択の基準は燃費がよくて故障が少なければいいぐらいにしか思っていない。今の日本の小型車は、たいてい燃費がよくて故障が少ないから、結局「どれでも大差ない」ということになってしまう。

運転がとりたてて好きというわけでもないので、「人の運転する車の助手席に乗っているのが一番楽」なんて、不精なことを本気で思っている

酒もあまり飲まなくなってしまった。そりゃ、旨い酒を少しだけ飲むのは好きだが、「大いに飲み交わして談論風発」なんていうのは年に数回あれば十分で、それ以上の付き合いはうっとうしい。

野球に至っては、野球シーズンになると、どこのラジオ局も同じ巨人戦の中継ばかりになるので、ラジオ好きの私はつまらないことこの上ない。ポストシーズンはラジオが楽しくなるので、大歓迎だ。

ただ、いわゆる「若者の車離れ、酒離れ、野球離れ」には、ちょっと疑問がないではない。彼らは「車一般」「酒一般」「野球一般」に興味を失っているだけなのではないか。

もっと言えば、「車にステータスを求めること」「高級酒を飲んで自己満足すること、あるいは、どうでもいい酒で酔っ払うこと」、そして「巨人の野球」に興味を失っているだけなのではないか。

本当に必要な車ならちゃんと吟味して購入するし、好きな酒の銘柄にはひそかにこだわるし、巨人以外のチームの試合を実際に球場に足を運んで観戦したりもする。

さらに言ってしまえば、車と酒と野球以外にも楽しみはいくらでもあるから、わざわざそんなものへの興味をおおっぴらに表明して、おっさんたちの輪の中に引っ張り込まれるなんていう自爆行為はごめんだと思っているのである。彼らは、自分をおっさんとは差別化しておきたいのだ。

個人的には、最後に挙げた要素が一番大きいと思っている。

毒を食らわば皿まで・・・本宅サイト 「知のヴァーリトゥード」へもどうぞ

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コメント

車・酒・野球は、いずれも「コミュニケーションの道具」だったのではないでしょうか。酒はもちろん、おっしゃるとおり「談論風発」の場を作るためのものだったし、野球は「昨夜の○○のホームラン、見た?」という朝の一発目の話題。車も、実際に乗って楽しむものである以上に、ああでもないこうでもないと優劣を論じる対象であったように思います。

コミュニケーションを忌避しているから、こうしたものに興味が集中しないのか、あるいは逆に、興味の分散の結果、コミュニケーションが希薄化しているのかは分かりませんが。

投稿: 山辺響 | 2007年11月16日 09:36

山辺響 さん:

>車・酒・野球は、いずれも「コミュニケーションの道具」だったのではないでしょうか。

鋭い指摘!

「わざわざそんなものへの興味をおおっぴらに表明して、おっさんたちの輪の中に引っ張り込まれるなんていう自爆行為はごめん」 という結論めいたものの、前提はそこにあるという、補完をしていただいた気がします。

ありがとうございます。

投稿: tak | 2007年11月16日 10:39

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