言わなくてもいいことを言っちゃうと
北京五輪組織委員会 (BOCOG) が、表彰式の女性プレゼンターを募集するにあたり、「極めて明確な条件と要求」をアナウンスしたことが話題になっている。
その 「極めて明確な条件と要求」 とは、「選手にメダルを授与するため身長が 168 - 178センチ」であることだという。(参照)
体重に関する明確な条件はないが、「概して言えば、太り過ぎはだめ。プロポーションはよくなければならない」んだそうだ。
さらに、その他の目安として、「18 - 25歳の大学生で、支給されるユニフォームのサイズに合うこと、健康で練習に参加でき、五輪精神やオリンピック・ムーブメントについて明確に理解していること」が挙げられた。
この声明を発表したのは、同委員会の趙東鳴・文化活動部長という人らしい。これに対して、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ (本部ニューヨーク)が敏感に反応し、「女性差別だ」と批判する手紙を、同部長宛に出したことを明らかにした(参照)。
「女性差別」批判に関するニュースの見出しは、"「美人の起用」は差別と批判 五輪メダル授与者選考で" ということになっている。
とはいえ、ニュースで読む限りは、趙東鳴部長のコメントには、「プレゼンターの条件は "美人" であること」という文言は見当たらない。ただ、長身でプロポーションがよく …… 云々」 とあるだけだ。
しかし実際には、「長身でプロポーションがいいけど、顔の造作は明らかに不細工」という女性が選ばれることはないだろう。きっと、それなりの美人が選抜されるんだと思う。
このケースで問題なのは、一重に「選考の第一条件は容姿」なんてことを、アナウンスしちゃったことだ。これでは「女性差別」と批判されても仕方がない。フツーの世の中では、こんな条件なんてものを声高に言わなくても、結果としてそれなりの容姿の女性が選ばれてしまうものなのである。
そこはそれ、阿吽の呼吸だ。要するに趙東鳴部長は「言わなくてもいいこと」を言っちゃったのである。「言わなくてもいいことを言っちゃう」というのは、往々にして「言うべきことを言わない」よりも、もっと好ましくない結果につながることがある。世の中とはそういうものである。
私の知っている某社の社長も「ウチの女性社員の採用基準は "見た目" が第一」と、言わなくてもいいことを公言する一人である。「社内にいる女の子がブスよりゃ美人の方が、男の社員のやる気も出るってもんだろうよ」だそうだ。
確かにこの会社の OL の容姿は、平均点が(とびきりってわけじゃないが)高いような気がする。ただ、そのことが男性社員のやる気を左右するほどのことかというのは、私はかなり疑問である。というか全然関係ないんじゃないかと思う。
正直に言うけど、そりゃ、私だって美人は好きである。しかし、こんなことを堂々と公言する社長の会社に、居心地よく勤められちゃう美人というのは、ちょっと違うんじゃないかと思う。私としては、進んでお付き合いしたいとは決して思わないのである。
それに、最も重要なポイントとして、そんなところがこの会社の限界という見方をされても仕方ないわけである。
本日の結論。女性に限らず、男だって「容姿も能力の一部」というケースも時にはあるだろうが、それは一般的な仕事の場においては「言う必要のないこと」である。繰り返すが、それを言っちゃったら「言うべきことを言わない」よりもまずいことになりやすいのである。
そもそも「選手にメダルを授与するため」に、身長が 168 - 178センチでなければならないなんていうのは、ほとんどお笑い草である。だって、メダル受賞者の身長は、多分、150センチぐらいから 220センチぐらいまでの幅があるだろうから
このくらいの身長の女性が、趙東鳴部長の「好み」なのかもしれないね。
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